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内容説明
35歳で死の床で『レクイエム』を作曲していたモーツァルト、十番目の交響曲に着手するものの未完のまま56年の生涯を終えたベートーヴェン……。大作曲家の最後の一年はさまざまだが、ドビュッシーはどうしていたか。没後100年。「終活」を迎えたドビュッシーの最晩年の姿を追い、そこに凝縮された、作曲家の真実の姿をさぐる。精神科医・劇作家のヴィクトル・セガレンとの交流から、ドビュッシーの創作の背景を探った評論「ヴィクトル・セガレンとドビュッシー」を併録。演奏・解釈・研究の第一人者による、最新のドビュッシー論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
113
1918年55歳で亡くなる作曲家ドビュッシーの最後の一年を中心に、人物像と音楽性に迫る。対象物を即物的即興的に音符化する軽いノリの人と思ったら、記憶の中から、頭ではなく耳や心で感じる音楽を試行錯誤の末、信念も持って作り上げる頑固な人という印象に変わる。同時代のサティ、ラヴェル、ストラヴィンスキーらとの関係性が面白い。エドガー・ポー「アッシャー家の崩壊」やシェイクスピア「お気に召すまま」へのこだわり、「ダ・ヴィンチ・コード」の秘密結社シオン修道院派総長リストに名を連ねるオカルティストであることにも興味津々。2019/07/14
ジョンノレン
17
個人的にはドビュッシーの大ファンで、座興の域を出ませんが、弦楽四重奏にもチャレンジしてました。今回初めて彼の人生や創作のプロセス、それに名前を上げるだけで心拍数の上がる、往時をときめく作曲家や文学者や振付師等の数々との絡み合いに触れ、圧倒されました。一気に夥しい数の音楽が頭の中を巡ったかと思えば、ルドンの名前なども出た時などはもう眩暈というくらい興奮してしまいました。自発・他発の作曲素材を前に、律儀というよりは心の赴くところに従い曲を紡ぐ彼らしさも。P227あたり、彼の基本姿勢が如実に吐露されます。2022/05/28
駄目男
14
天才的大芸術家は金の心配もなく恵まれた環境で悠々自適に暮らせるなんていうのは、一部の人を除いて例外的ともいえる。モーツァルトやチャイコフスキーの変死、ビゼーの突然死、モジリアニ、ヘミングウェイと枚挙にいとまがない。 有名な指揮者ですら振り間違えるという複雑な変拍子を練習なしに弾きこなせると言われたドビュッシーは、大腸がんを抱え、石炭を買うお金さえなく、友人らに何度もその赤貧ぶりを訴え、なるだけ早く石炭を送ってほしい、助けてほしいと懇願している。少し金が入るとすぐに本や美術品を買ってしまう浪費家だったようだ2020/05/13
Bartleby
11
ドビュッシーが亡くなるまでの最後の一年を150ページにわたり克明に書いている。まるで彼の死を惜しんで、その瞬間を遅らせたがっているかのよう。私にとっても大切な作曲家なのでよくわかる。青柳氏がいくらか悔やんでいるのは、ドビュッシーがもう少し長く生きさえすれば、いまの音楽状況ががらりと違っていただろうということ。前衛的な無調音楽が流行らなくて済んだだろうと。それには不賛成。当時の状況がメシアンとブーレースを生んだだけでも現況を肯定して余りある。というか、いずれ両者のような作曲家が生まれたはず。遅かれ早かれ。2022/10/10
忽那惟次郎8世
9
本書は2部に分かれる 1部はこの本のタイトルである「ドビュッシー最後の一年」、2部は書き下ろしの「ヴィクトル・セガレンとドビュッシー」である。後者はのセガレンは劇作家であり ドビュッシーに自らの著作を題材にオペラを書いて欲しいとアプローチした若者であった。「最後の一年」の方はドビュッシーの友人であり編曲を手伝ったアンドレ・カプレ(作曲家)の記述がとても興味深い。 何よりも「アッシャー家」に関する記述が面白い ドビュッシーはオカルティストである 現存していたらホラー映画マニアになっていたんじゃないだろうか。2021/12/18
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