内容説明
中学生の山浦大志は、“完璧”でなければいけなかった。
家にも学校にも居場所を作らず、世界に絶望していた彼は、ある日、夕陽の落ちる公園で少女と出会う。
古びたカメラを提げ、青い瞳をしたその少女は、写真を撮りながら旅をしていると語った。
誰よりも自由に羽ばたく彼女に、大志は自然と心惹かれていく。
だが、出会いから1ヶ月がたった頃、名前も知らぬその少女に大志がついに想いを伝えようとすると、
彼女は思いがけない言葉を残し、それっきり姿を消してしまった――。
彼女はなぜ、どこへ、消えてしまったのか?
それから7年、“完璧”な大学生になった大志は、写真共有アプリで偶然見つけた1枚の画像から、またしても奇妙な出会いを果たすことになる。
時を越え、場所を越え、人々の前に姿を現す不思議な少女と、その軌跡を追いかけ続けた一人の不器用な少年。
時と、場所と、人。
全ての点が繋がるとき、少女が胸に秘めていた“ある後悔”が、二人の運命の歯車を大きく動かしていく。
イラストレーターとしてデビューし、装画担当作品の累計発行部数は400万部以上を記録。
さらに、近年ではアニメーション、マンガ、音楽などの分野でも活躍するなど、いま、その才能に注目が集まるloundraw。
“イラストレーションの表現の壁を越える” ために言葉で創られる物語は、
ダイナミックな世界観と、鮮やかな描写力で紡がれたラブストーリー。
雑誌『ダ・ヴィンチ』での連載を大幅に改稿し、カバーイラスト&挿絵を全て自ら描き下ろした、渾身の初小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あおでん@やさどく管理人
37
loundrawさんのちょっと薄靄がかったイラストの雰囲気にピッタリの、切なくて儚くて綺麗な物語だった。どんなに優しい人でも、相手を傷つけてしまうことはある。それでも、そのことを覚えていて、次に同じ過ちを犯さないようにする。そのことこそが、優しさであり、愛であり、大人になることなのだと思う。2019/06/05
しお
18
さすがloundrawさん。やっぱりイラストがすごくきれいで、それと同じくらい、もしかしたらそれ以上に文章がきれい。なんかもう、「きれい」しかでてこない。すごかった。2019/09/12
はるな
17
中学生の大志が出会った、カメラを携え旅をする少女。大志は次第に彼女に惹かれていくが、彼女はどこかへ行ってしまった。 ダ・ヴィンチ連載時から読んでいた本作。細かい設定や内容は結構変わったなぁ。でも、こちらも面白いです。帯には“最強ラブストーリー”と書いてあるけど、私はそれ以上に、“人の感情をめぐる物語”として楽しんだ。恋や愛、嫉妬、後悔。様々な感情を知っていくチナミ。イミテーションでありながら、その純粋さとまっすぐさは本物だと思う。この小説とイラストのきれいさもね。2019/03/29
tokisaki
17
徐々に不思議な少女のことが分かっていき、どうしようもない切なさを感じていった。胸が締め付けられるラブストーリーでした。装丁もそうなのだが、途中途中にあるイラストがとても美しい……。2019/03/07
まつどの理系こうし(まりこ)
11
loundrawさんの描くイラストの色味そのままの明暗と濃淡の綺麗なバランスが思い浮かぶ場面が多く、言葉選びの真っ直ぐさが読みやすい。僕は、loundrawさんの青い絵、好きです。2020/05/24