内容説明
あるとき、会議中に原さんが猛然としゃべりだした。とある鉄道の本について、熱く熱く語っているのである。「いや、そんな細かい部分、ここにいるだれもわからんがな」と呆気に取られつつ、私は深く納得した。
なーんだ、ただのオタクだ!
そこからなにがどうなって対談をすることになったのか、いまいち記憶が定かではないのだが、小説や天皇制や鉄道について、二人で好きなようにしゃべったのが本書だ。
私と同様、門外漢のかたにも、肩肘張らずにお読みいただける内容になったのではないかと思う。
――三浦しをん(「まえがき」より抜粋)
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三浦さんが女性作家として、時にびしっと本質を衝く意見や質問をされることに、思わずはっとさせられた。
「社会全体の中で女の人をどう位置づけるかは、学校教育も政治家も何も考えていないような気がします。」
「アマテラスは女性の神様ですが、その子孫であるとされる天皇家は、なぜ女系を採用しなかったんでしょうね。」
学者でない人々、とりわけ女性との対話を積み重ねることで、自らの学問が鍛えられてゆくことの大切さを、改めて思い知らされた次第である。
――原 武史(「あとがき」より抜粋)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
234
三浦 しをんは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。原 武史は、初読です。そんな二人の対談集、特急「スペーシアきぬがわ」 http://railway.tobu.co.jp/special_express/vehicle/spacia/ の中でも対談し、東武ワールドスクウェア http://www.tobuws.co.jp/ にまで行くとは思いませんでした。 天皇について色々と考えさせられる内容ですが、このままでは、22世紀に天皇家は、消滅してしまうのではないでしょうか?2019/03/30
のぶ
114
原武史さんと三浦しをんさんの5回にわたる対談を纏めたもの。自分は原さんの事をほとんど存じ上げないので、しをんさん目当てで入手した本だったが、内容は面白かった。タイトルに皇室、小説、鉄道とあるが、皇室に関しての話題がほとんどで、小説と鉄道についてはほとんど語られていない。それでも硬いものにならなかったのは、聞き役に回ったしをんさんの力によるものが大きいと思う。本人自身皇室問題にかなりの知識を持っていたし、難しい問題にもユーモアを交えて返していて、自分自身も皇室に対して親近感を持った本だった。2019/03/17
美登利
92
タイトルからして多少固い内容の話なのだと思っていました。政治学者の原さんのことは存じ上げませんでしたが新聞記者を経験し、現在は放送大学の教授だそうで歴代の天皇、皇室や政治の話も分かりやすく、これまで無関心だったことにも少し興味が湧いてきました。それは対談相手のしをんさんのおかげなんでしょう。真面目に話す原さんに時には一撃を与え、共感し、しをん節もちょこちょこ出るしと勉強にもなり楽しい1冊でした。鉄オタというのはロマンがあり奥深いものなんだなぁとしみじみ感じました。スペーシアに乗ってみたくなりましたよ!2019/03/30
しゃが
68
皇室が話題になっているこの時期に興味深い一冊だった。皇室の歴史や伝統とされている宮中祭祀などもしらないことばかり。伝統的なことも明治から始まったことも多かったようだ。何よりしをんさんの素朴で真っ直ぐな本質を突く皇室に精通した政治学者の原さんへの質問が小気味よかった。最近の報道で過剰に美談にされていること、当然のように認知されていることも一度立ち止まることもあってもよいのだ。皇室のことを考えると人の多様な生きかた、在りようがみえてくる。対談中に紹介された本のかずかず、手に取ってみたい本ばかり、愉しみが増えた2019/04/19
けんとまん1007
64
そうなんだ~と、頭の中で呟きながら読んだ。しかも、知的な遊び心に溢れているよがいい。お二人のやりとりが、かみあったり、ちょっとずれたりするのが、いかにも現在進行形で、その場にいるような気分になる。歴史の教科書や、鉄道の教科書にはない話が満載。2022/01/14