内容説明
現代社会では速さが求められる。効率は、すべてにまさる免罪符だ。そこでは“今”は、未だ結果を得ない不全の時間にすぎず、そのことが、身体を疎外し、心の耐性に負荷をかける。本書では、新型うつ病や解離性障害など、様々な精神病理を臨床例から検証、時代の加速化が視野を狭め、不意打ち的外傷が蔓延する現代に、私たちが生命性を回復し、“今”を豊かに生きるためになにが必要か、その叡智を探りだす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
3
ハイマートやコントラ・フェストゥムについての議論は既出だったと思うけれど、様々な疾患を次々に検分していく本書のポイントは、20世紀までとゼロ年以降の症状の間に変化を認めざるをえないこと。反抗的な学生運動の時代から情報化社会に移行して他者との関係が希薄になっていったのが、診察室でも感じられるという。トラウマに対する防衛反応と思える症状が多いとの直感から、ベルクソンとメルロ=ポンティを経由して記憶と間身体性を人とのつながりで活性化させる共存感覚を唱える。結論がユングなのでギョッとしてしまうのはご愛嬌?2013/07/03
Asdf_QwertyZ
2
泉谷閑示先生の言う心=身体とイントラ・フェストゥム、意義深い偶然であるところの共時性、ユングの言う集合的無意識と元型、フッサールの言う間主観性、メルロ・ポンティの間身体性が自分の中で接続された。2022/05/03
kapo54
2
途中からは流し読み2018/07/11
さとう
1
いまいち身が入らず流し読み。2020/03/16
echo.
1
非常に読みやすい。もちろん、主治医の書いた書や岡野氏の書を読んでいるという下地はある。しかし、ANPとEPの区分け、解離とフラッシュバックとの関係性など、腑に落ちる説明になっている。入門としてはやや難しいが、専門書ほどハードルが高くはない。現代の精神病理に関心がある人に薦めたい。2016/01/13
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