筑摩選書<br> 分断社会を終わらせる ──「だれもが受益者」という財政戦略

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筑摩選書
分断社会を終わらせる ──「だれもが受益者」という財政戦略

  • ISBN:9784480016331

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内容説明

他人に対して冷淡で不機嫌な社会──。それが今の日本だ。世代間、地域間、性別間、所得階層間それぞれの対立が激化し、私たちは、バラバラな存在へと追いやられている。永続的な経済成長をあてにする勤労国家レジームが、こうした状況を生み出した。本書は分断社会を終わらせるべく、すべての人の基礎的ニーズを満たすという「必要原理」に基づく財政戦略を提唱。暮らしの安心の実現が、格差是正と経済成長を実現させることを説く。来るべき未来を構想する、希望の書である。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

43
なぜ日本はこんな分断社会になってしまったのか?分断線を消す処方箋は?常々、感じていた疑問に正面から答えてくれる良質の書でした。日本は世界的にみても市場志向が強く、自己責任の社会になっている。格差が現実として拡大するなか、貧しい人を助ける救済型の再分配という善意のリベラルは心理的な分断を進めてしまう。そうではなく現物給付を軸とする共存型の再分配を目指す。財政難だから支出削減以外できないという思考停止から脱却する。以前、井手先生がテレビで説明していた時は理解できなかったのですが、活字だとよくわかりました笑笑。2017/01/25

Yuma Usui

23
日本の持つ閉塞感の原因を探り解決策を提示した一冊。成長しなければ人間らしく生きていけない社会を作った私たちが、成長の見込めない人口減少社会をどう生きるか教えてくれる。富裕層から低中間層へ便益が溢れる「トリクルダウン」と対をなす考えとして、低中間層から富裕層へも便益がもたらされる「エンブレース」はしっくりきた。弱者救済による納税者の葛藤・分断から、納税者全体への便益の提供による共存への舵取りは一考に値すると思う。極度に進めるとベーシックインカムだが必要原理による生存・生活に則して支給する考えは興味深い。2020/02/02

みねたか@

23
気鋭の財政学者3人が閉塞感で覆われた日本に提言。格差の是正や公正さに鈍感で他人の受益に過敏に反応する現状。類書では高齢者の年金受給の見直しで是正を図るものが多い。しかし本書はこのような安易な既得権益への攻撃が社会の分断を生み,利害調整を困難にしていると指摘。所得制限を伴わない現物給付を基礎的ニーズに幅広く導入し,利害の共有により社会の共同性を確保すべきという。他人へのやっかみに溢れたこの社会を変えるという意志と希望を感じ清々しい。彼らの熱量は学生にはどのように伝わっているのだろうか。2019/02/04

ばんだねいっぺい

23
「人への投資も公共投資」・「人間という動物の群れ」などの言葉が響いた。必要原理に基づき、しかるべき税負担の上に現金現物給付などのサービスを社会的弱者に偏重せずに各層にまんべんなくして分断社会を終わらせなければ「この空気の悪さ」は治らない。2017/01/06

kotte

15
読みやすくわかりやすい本であるうえ、内容も共感できます。ただ、もう一度読んで理解を深めたいです。感想は後ほど。2017/10/08

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