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内容説明
太古は植物、貴族は絹、脱脂綿、タンポン、ビクトリヤ……生理用品の史料を研究し、歴史をひもとく。さらに日本の生理用品史に大きな革命をもたらしたアンネナプキンの誕生、そして現在に至るまでを描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
112
前半は月経の社会史。月経中の女性が不潔な環境に耐え、差別されたかが詳細に書かれ、悲惨過ぎて読むのが辛い。女から産まれておいて女を差別するなよな。ところがアンネナプキン登場から一気に空気が変わる。巻末の資料を見ても解るが、アンネナプキンの広告はお洒落で可愛く、女に生まれて良かったと心から思えるもの。私は母から、生理は隠すものと教わった世代だが、うちの子は生理用品をそこらにぽーんと置いて、「体の手入れに使うものだから、シャンプーとかと一緒でしょ」と言い放つ。インド映画「パッドマン」見ても解るが→2020/12/16
藤月はな(灯れ松明の火)
87
映画でも『パッドマン』や『ピリオド』(Netflix)のような、疑問だが不思議と口に出せなかった「如何に多くの人に如何に安全で手軽に生理用品が使えるようになっていったのか」を取り上げるようになった昨今。今、女性が経血処理を常に心配せずに快適な生活が送れているのは、先人たちの絶え間ない努力があったからだ。不衛生だった経血処理に絶句。だからこそ、アンネ・ナプキンを作り上げた方々に頭が下がるしかない。しかし、その後の彼らが受けた嘲笑は余りにも遣る瀬無かった。そして布ナプキンについては少し、モヤモヤする所もあり。2019/06/24
がらくたどん
75
10年ほど前にミネルヴァから出版された数少ない女性の月経と生理用品の歴史をまとめた良書。文庫になっていたのを教えて頂いて♪まず近代の月経への衛生教育は必要度の高いはずの労働要員女性ではなく「将来の『優秀な母体』への配慮から」上流女性対象に始まった。労働者女性が「保護されるべき母体」になるのは戦時体制が常態化して政府の方針が「母性の選別」から「多産」にシフトしてからだという分析が興味深い。そもそも月経=女性の穢れ=女卑の流れは上代の夫方(朝廷)・妻方(例えば藤原氏)双方の権力組織図を夫(父)系へ転換・固定⇒2023/04/14
ニッポニア
57
これは読み応えありました。生理用品を通し女性の権利、地位の確立を考察した本。タブー視していた社会から解放されたことにより、以下メモ。月経時に生殖器に充血を起こすためダンスを禁止していた時代。タンポンの使用が売春の原因とされていた。粗相への大らかさの時代を経て、有り得ないこととなったのは、月経の透明化が進んだため。女子スポーツの発展の背景に、生理用品の開発あり。生理用品を急速に進化させたのは、商業主義。2024/01/14
ぐっち
35
生理用品の歴史を、良く調べて書いてあって読みごたえがあった(参考文献が10ページにもわたる)。用品の発展が女性を解放した話は説得力があった。とくにアンネ社の興亡の話が熱い。60年代にこんなに売れて代名詞にまでなったのに、私が知ってるころにはもうなかったのも興味深い。2022/08/26