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内容説明
歴史の教科書は「帰化人」を「渡来人」と言い換えて、彼らを古代「日本」への移住者・定住者と説明してきた。しかしそれでは、古代社会の実像から大きくかけ離れてしまう。古代史料に即して「渡来」と「帰化」の意味や違いを捉え直し、渡来人を〈移動者〉と再定義。〈移動〉をキーワードに、現代「日本」と繋がりつつも、異質で多様な古代の「倭」「日本」の姿、国際社会と密接に結びついて動く古代列島社会の姿を浮き彫りにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
16
領域国家として発展各々の国民意識を育んできた日本や韓国。そうした意識が古代から続いている如き政治的言説が今日迄残る。同じ人間集団を呼ぶ名称が渡来人と帰化人と変遷したのもこれによる。3世紀の華北の混乱を基に生じた人的流動性によって、漢字や中華的行政制度、仏教等の知識を得て東アジア地域は大きく発展した。その様を本書は新たな文献史学の知識で披露する。日本漢字音や古訓の基となった古韓音等様々な知見を盛り込み、解り易く説く良書だ。但し最近韓国南部で発掘が進む日本式古墳等、考古学知見との学問的融合は未了の段階と判る。2025/09/23
月をみるもの
16
安彦さんの「天の血脈」を読んで以来、日本と大陸・半島の間をどのように人が行き来してきたのかを、一度ちゃんと俯瞰してみたいと考えるようになった。本書によれば、身分の低い百済系の母を持った桓武が、コンプレックス克服のために打ち立てた日本型中華思想(字面だけみると意味がわかんないね。。)が、やがて尊皇攘夷へとつながっていく。そして、それらの思想が現実とおりあわずに破綻した時の対処方法は、残念なことに1000年以上たってもほとんど変わらなかった。。2019/06/16
さとうしん
16
従来の帰化人・渡来人の用語の妥当性をめぐる議論は、いずれも現代人の立場から「われわれの祖先」をめぐるもので、日本への同化を暗黙の前提としてきたと批判。古代にあっては渡来人とは別個に、まず天智・天武の時代に日本型中華思想による世界観の中で、百済・高句麗の遺民として帰化人として位置づけられ、平安期には更に渡来商人が帰化人と位置づけられるようになったと論ずる。著者は更に尊王攘夷論や内地雑居論にまで話を広げるが、それには日本型中華思想の展開を追うことが必要になるだろう。2019/02/25
nori
5
As long as my understanding, author would say 中華天皇 made 帰化人 referring to original system of China. However, he did not explained how Japanese version of Sinocentrism was being born. Only with 律令制 it might not be generated, when we saw Korea and others.2019/07/20
金平糖
4
C。2019/11/01