講談社文芸文庫<br> 日本文学史早わかり

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講談社文芸文庫
日本文学史早わかり

  • 著者名:丸谷才一【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 講談社(2019/02発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061983786

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内容説明

古来、日本人の教養は詩文にあった。だから歴代の天皇は詞華集を編ませ、それが宮廷文化を開花させ、日本の文化史を形づくってきたのだ。明治以降、西洋文学史の枠組に押し込まれて、わかりにくくなってしまった日本文学史を、詞華集にそって検討してみると、どのような流れが見えてくるのか? 日本文学史再考を通して試みる、文明批評の一冊。詞華集と宮廷文化の衰微を対照化させた早わかり表付。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

クラムボン

29
読友さんの感想に惹かれて読んでみました。表題作の他にも王朝和歌から現代小説まで論じて盛り沢山。古典文学には親近感を持ちながらも、日本文学史となると…まだ先だと思っていた。丸谷さんは旧来の「日本文学史」に疑問を抱く中、何十年も経て西洋の文学史の型に無理に当て嵌めたと気づいたらしい。日本には平安~室町時代にかけて天皇の命で編纂された勅撰集があったと。これは個人歌集ではなく詞華集。丸谷さんはこれに大注目した。そして勅撰集に目を付けると、その栄枯盛衰が自ずと日本文学の時代区分になるそう…何か視界が開けたようだ。2022/05/05

たま

27
辻邦生の『西行花伝』(1995)を読んでいたら、「私が勅撰和歌集を試みるのは、…歌によって真実の政治を果たさんがためなのだ」と崇徳院が語る個所があり、昔読んだ『日本文学史早わかり』(1978)を思い出して再読した。「呪術者と詩人と君主とを兼ねた者の、呪術と言へば呪術、文学と言へば文学、そして政治と言へば政治である作業の仕掛けが歌だった…」。舒明天皇から昭和天皇までの歌を論じた「香具山から最上川へ」(崇徳院の「瀬を早み」も含む)と題する短い評論はその実例であるが、どの歌もとても良くて心に残る。2021/08/09

禿童子

26
文学から文学を作る。和歌の本歌取り、俳諧に見られる古歌のパロディ。「駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野のわたりの雪の夕ぐれ」定家。「笠さして尻もからげず降る雪に定家の卿もはだしなるべし」芭蕉。(「雪の夕ぐれ」から) 明治末年以降の個人中心の「純文学」的文学史に対して、共同体としての文学史を勅撰和歌集という日本オリジナルの詞華集を軸にして展開する丸谷才一の筆の冴えを楽しめる。日本の文学史の代表的批評家が紀貫之、藤原定家、正岡子規の三人とは確かに早わかり!よくできた一筆書きの文学史としておすすめです。2018/04/01

fseigojp

11
日本文学の根底にある詩魂 それが原初だった 漢文学の影響で散文が展開した2015/07/30

あかくま

8
詞華集で文学史を区分する丸谷流の考え方が、すっきりと解りやすい。王朝和歌がどうして恋歌、恋歌、また恋歌なのかと思っていたが、色好みは即ち、国を富ませ、優れた女たちに言い寄ってその呪術力によって国を統べるためで、祭政一致の時代にあっては、呪歌=恋歌ということが基盤にあったからなのですね。和歌を一つぽんと出されても、鑑賞以前に理解することが出来ないことが多いのだが、歌集としてまとめて読むことで、少しは鑑賞力が向上するかしらん。2013/06/11

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