講談社文芸文庫<br> 千年・あの夏

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講談社文芸文庫
千年・あの夏

  • 著者名:阿部昭【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2019/02発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061962231

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内容説明

鋭く周密な観察で幼年期をつづる「千年」、漠然として白く燃え上り、落着の悪い記憶の断片にまとわる不安・恐怖・なつかしさを語る「桃」、心弱い父が美しく描かれ、父と子の屈折した心情あふれる「父と子の夜」など、仄暗く深い記憶の彼方の幼年時代を、瑞々しく精緻に描出する、阿部昭の秀作群。毎日出版文化賞受賞短篇集『千年』に「あの夏」「贈り物」を併録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

95
作者の家族のことをきめ細やかな文体で描いた短編集。軍人だった父親のことが描かれていることが多くて、作者は父に愛憎相半ばする感情を抱いていたことが分かる。うっとおしいけど、突き放せない、憎しみがこみ上げてくるが、愛情も消えないという困った状態である。「父と子の夜」で子育てに悪戦苦闘しながら、亡き父のことを回想する場面は切なくて、胸が詰まる。「桃」が一番良かった。桃の実を積んだ乳母車を母と押すイメージが童話的で、美しい。主人公のその記憶は曖昧なままだが、そのことがかえって、過去への郷愁を強めるのだ。2016/11/03

AR読書記録

2
うーん。わりと“家族”を冷静に(情の要素薄めで)みっちり書いていて、そこにシンパシーを覚えまたどうしても気をとられてしまうのだけれど、でもまたそこにどうしても男女の差を感じずにはいられないんだよな。同性の親に対する厳しさみたいなものは共通だと思うけど、息子→母と娘→父の感情には相当な懸隔があると思う。ひいては女ってものじたいが、幼いときから母になってまで、息子も含めた男たちからこんなふうに見られ、勝手な押し付けの様々なイメージを背負わされんといかんのか、と思うとげんなりする。2014/06/25

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