内容説明
〈文化〉とは何か。この原理的な問いに,古典的研究から最先端の議論まで,博覧強記の著者が明快に整理し,新たな文化論を打ち出す画期的な教科書。ポップカルチャーから観光,ミュージアム,ネット社会まで,現代文化を読み解くために必要な理論と方法を解説する。
目次
前口上
第1幕 〈文化〉という問い
第1場 文化とは何か──ポップカルチャーを学びたいあなたへ
第2場 遊びから文化へ──ホイジンガとカイヨワから現代へ
第3場 大都市と労働者の文化──ウィリアムズとシカゴ学派の文化研究
第4場 コミュニケーションとしての文化──鶴見俊輔と戦後日本の〈文化〉研究
第2幕 日本近代と〈文化〉の位相
第5場 文明開化から文化主義へ──近代日本における〈文化〉の変容
第6場 文化国家の挫折とマス・カルチャー──戦後日本における〈文化〉の変容
第3幕 〈文化〉としての現代
第7場 資本としての文化──文化産業からクリエイティブ産業へ
第8場 差異としての文化──消費社会と文化の政治学
第9場 越境としての文化──文化帝国主義とポストコロニアリズム
第10場 ジェンダーの文化政治──ジェンダー研究と現代文化
第4幕 現代における〈文化〉の諸相
第11場 ネットワーキングする文化──集合知の時代を生きる
第12場 パフォーミングする文化──日常化する舞台
第13場 観光のまなざし/上演する地域──現代文化としての地域
第14場 アーカイビングする文化──新しい記憶─再演術へ
カーテンコール
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
晴
4
ポップカルチャーやジェンダー論、図書館のアーカイブなどさまざまなテーマから人文学を見るという本。特に図書館関係のテーマがいちばん関心持ちました。(卒論のテーマだったので) 2019/08/15
古戸圭一朗
2
近代西欧においていかに「文化」の概念が生まれ、変遷してきたかという、「文化」という言葉の根本的な解説にはじまり、現代における文化をめぐる諸トピックまでをカバーする。文化という我々が(しばしば学術的な場においても)何気なく使っている言葉を考えることの難しさを述べるところから出発している点が良い。西欧だけでなく近代日本において文化が主に知識人によってどのように考えられてきたのかも押さえられている。単純に理論を当てはめるだけの上滑りなものではなく、文化をめぐる現象をラディカルに考えるための道案内となるだろう。2018/12/19
Witch丁稚
0
文化と文明、文化と遊び、大衆と文化、文化の中の限界芸術、近代日本の文化、敗戦後の文化、文化と資本、文化の差異化と消費社会の限界、文化間の越境と文化帝国主義、ジェンダーと文化、文化とインターネット、パフォーマー化と文化、観光と文化、アーカイブと文化。2024/05/01