内容説明
古来、農耕民族として生きてきた日本人には、祖先を敬い、互いを尊重し、助け合うという文化が根付いていた。じつは、そのあり方は、儒教の思想と深く親和してきた。江戸時代の朱子学が倫理道徳を強く押し出したため、とかく、四角四面、堅苦しく受けとめられ、誤解も多い。本書は、儒教を歴史的に繙きながら、家族のあり方や冠婚葬祭、死の迎え方、祖先との向き合い方、老後の備え、お墓や仏壇の継承など、儒教に学び、儒教を生かす、知恵とヒントをやさしく解説する。
【主な内容】家族主義と個人主義/儒教のイメージ/血縁共同体/冠婚葬祭/盆など年中行事/儒教と仏教の相違/死後はどうなるのか/生命の連続/儒教の成り立ち/道徳と法/儒教の徳目/現代人と儒教
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
funuu
13
王の資格、政治家の資格としては、道徳的に勝れているということが前面に出てきたのです。勝れた有徳者であるがゆえに、王たるべき資格があり、諸侯は血縁を超えて王を尊敬し、支持するという政治哲学です。血という物資的なものよりも、道徳という精神的なもののほうが上である、というこの理論が後に発展して、中華思想となっていきます。道徳的に勝れた王の下に、人々が慕い集ってくる。そして王の道徳性に感化され、自分も道徳的になってゆく。それが広がりゆくと、遠くの野蛮人までも慕い寄ってくる。これが王道。2019/07/16
ひよピパパ
8
儒教のもつ宗教性と道徳性を分かりやすく解説してくれる書。儒教に宗教性があることを持論とされている著者だけに、宗教性についての解説はなかなか熱いものを感じた。「冠婚葬祭」の意味(「婚」は本来「昏」であった!)や儒教における「死」のとらえ方、朱子学と陽明学の違いなど、興味深い問題をかみ砕いて説明されていて楽しく読める。「はい」という返事の由来など、ところどころに挿入される雑学的知識も興味深かった。2020/07/11
やま
3
唐突に著者の社会批判が混じるのには少々閉口したが、仏教が儒教の手法を積極的に取り込んできたことなどを具体的に示してあり興味深い内容。著者の儒教に関する本を読んでみたくなった。2018/12/23
タワン
2
とてもわかりやすく儒教を教えてくれる。儒教から宗教性が除かれ、道徳性のみになったのが儒学で、除かれた宗教性が仏教と結びつき、葬式仏教となったのが日本仏教だとわかった。儒教について勉強したい人の最初の一冊としておすすめです。2021/07/30
あるまじろの小路
1
そもそも儒教は宗教であり、大乗仏教は仏教が中国での布教のために儒教の宗教的部分を取り込んだものであるという視点を提示は新鮮だった。現在私たちのイメージする儒教は、江戸時代に朱子学が官学化したことにより脱宗教化されており、本来の儒教ではなくなっている。2021/02/26