内容説明
『猫の妙術』は、江戸時代の中頃に書かれた「剣術指南本」です。
幕末の剣聖・山岡鉄舟は自分の所蔵する他の兵法書は門下に自由に閲覧させていたのに、『猫の妙術』だけは容易に人に見せなかったといいます。
そんな剣聖にとっても唯一無二の一冊だった『猫の妙術』は、剣術指南本でありながらテクニカルなことには一切触れず、ひたすら「心」の問題が掘り下げられている不思議な本でもあります。
一人の剣術家とさまざまな個性の「猫」たちが登場する物語として描かれていますが、そこに含まれている内容を理解するには、老荘思想や禅の知識なども必要になります。
その奥深い教えを現代風の「新釈」によってわかりやすく紹介するのが本書です。
原典の物語のセリフや背景を補い、すっきり頭に入る内容になっています。
また、より深く理解していただくために、訳者によるガイドもつけてあります。
私たちは人生のさまざまな場面で緊張を強いられる「勝負」に直面します。
そんなとき、肩の力を抜いて自然体で臨むことができたら、どんなにいいことでしょうか。
この本は、まさにそのための心構えを教えてくれる一冊なのです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
デビっちん
22
再読。何十回と読んでも新たな気づきを得られそうなほど深い内容だなと改めて実感できました。技を教えてもらったら、問いの次数を上げて、その道理は何かと考えるようにすることを意識していきます。道理がわかれば技の形式にこだわる必要はないのですから。道理がわからないうちは、ひたすら技をくり返すのみです。2019/06/22
デビっちん
22
江戸時代中頃に書かれた『猫の妙術』は剣術指南本です。その内容はと言うと、剣の技術については一切語られていません。ネズミ捕りにかけて凄腕の猫たちが一匹のネズミ退治を通して、心の在り方について学ぶ物語となっていました。勝ち負けは幻想で、今の自分にグサっと刺さった内容でした。技や気の大きさ、周囲との調和、という自分が高めていこうといしていたモノについて、今認識しているものがいかに表面的であるかを気づかせてくれました。「念」ではなく「感」、目指すべきモノ、やるべきことをもう一度考えるきっかけになりました。2019/04/08
デビっちん
17
再読。剣術書というか、生き方の教科書だな。これは。2019/12/24
maito/まいと
16
読みながらバガボンドを思い出した。あのとき感じた「人生への問い」。もし、どこか日々に満足できないなら、まだ見ぬ不安が胸をよぎるなら、今やこの先の自分に自信が持てないなら、迷わず読むべき1冊。僕たちの勘違いを、この本を通じて気付かせてくれるはずだ。難しい単語や禅問答のような話があるので、理解しづらいところもあるだろうけど、本著はもっと難しい(苦笑)こういう思想を、様々な学問から抜粋してくみ上げてしまうのだから、日本人はおもしろいんだろうなあ(笑)2019/02/17
デビっちん
9
再読。ブログに記載しました。 https://www.kousokutairyoinfo.com/entry/neko-myoujyutsu2020/03/06