内容説明
マルクス・トゥッリウス・キケロー(前106-43年)は、共和政末期のローマに生きた哲学者・弁論家・政治家として知られる。本書は、その最も人気のある二つの対話篇を定評ある訳者による新訳で一冊にまとめた待望の文庫版。「無謀は華やぐ青年の、智慮は春秋を重ねる老年の特性」、「友情においては地位や身分での分け隔てがあってはならない」──「老い」と「友情」という大切な問題についての古代の知恵が、ここに甦る。
目次
老年について
訳 注
友情について
訳 注
訳者解説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ともブン
11
キケロー自身ではなく彼の知人や先達の口を借りて語る対話篇。プラトンの著作にあるような鋭いやりとりではなく、聞き手にじっくりと語りかける形式。入り込みやすく、また大変分かりやすい。自然は何事にも何らかの最後があるのを必然としている。人間にとって叡智を除けば友情以上に価値あるものはおそらくない。一度も会ったことがない人であっても、その特性や善良さゆえにある種の愛情を抱くことができる。…など、老いや友情の迷いに思い出したい言葉に多く出会えた。カエサル達の戦乱期に翻弄され生きたと思えないほど穏やかな語りが印象的。2022/05/08
shimashimaon
6
プラトンが読みたくなった。「魂の不死」説は老年の悩みを克服するし、「徳」を持ち合わせた賢者同士にしか真の友情はあり得ないと、プラトンやアリストテレスを引きながら対話形式で説明します。『Give and Take』を読んで他者志向のgiverになると決めてから大して成長してないけど、やっぱりそうなんだと思いました。自分から先に差し出すこと。そして膨大な訳註はkindleでは読みづらいけど、訳者解説と合わせてとても大事です。キケロの国家観、共同体観を垣間見ました。『ローマ人の物語』の読書もますます楽しみです。2025/02/01
Jack Amano
4
人間にとっての永遠のテーマの代表的な二つの事象に対する考えを述べた共和制ローマ末期の政治家であり哲学者(その他いろいろ)であったキケロ―の著作です。2000年前の人間の悩みと今の人の悩みが同じで、それを同考えるかについてのキケロの思考結果も、現時点におけるものとあまり変わらない。「老いる」ことに抵抗しないで、それを受け入れつつ、出来ることを精一杯やっている人の方が若々しく見える。不必要に若返りをしようとしているのが、分かる人の方が見ていて痛い。「親友」と呼べる敬愛する友人がいることはとても幸いです。2023/12/20
しゅう
4
歳をとると、怒りっぽく偏屈になるというのは、老年の欠陥ではなく性格の欠陥である。身体の衰えはあるが、老年にならないと楽しめない事や得られない事がある。 友情は見返りや報酬を求めるものではない、しっかりと選び量よりも質が大切。2021/08/17
Kooheysan
3
【老年について】過ぎ去った道のことを考えず、今の時期をどう生きるかを考えていく、ということかと思います。「私は、日々、多くのことを新たに学び知りながら老いていく。」っていい言葉です。最後のほうの「魂」の話は『パイドン』を想起させます。【友情について】こういう話を言語化すると、少しくすぐったい気もしますがなるほどこういう説明で来たか、という感じです。2編とも、若干言葉のチョイスが難しい気がするのは老年を迎えている賢者が話すからでしょうか(笑)。代表作を一度に読めるのはよかったです。2024/01/25
-
- 電子書籍
- 村井の恋【分冊版】 62 ジーンLIN…
-
- 電子書籍
- お転婆娘と顔無しの男【単話版】(105…
-
- 電子書籍
- ザ・女の事件【合冊版】Vol.1-3 …
-
- 電子書籍
- 領土消失 規制なき外国人の土地買収 角…
-
- 電子書籍
- 童鬼の剣 虚空伝説 祥伝社文庫




