内容説明
竪岡清太郎一家は続発する怪事件にまき込まれ、恐慌を来していた。長男・清嗣は睡眠中にガス栓を抜かれ、次男・冬樹は暴漢に襲われ、末娘・このみを誘拐するという脅迫状までが舞い込んだ。事件解明の依頼を受けた探偵・三影潤が謎に挑むが、やがて第一の殺人が起こり悲劇の幕があく。呪われた一家を待ち受ける運命は……。江戸川乱歩賞作家による傑作長編ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
82
仁木さんの本は『灯らない窓』に続き2作目。 前作は、好奇心旺盛な兄妹の推理と活躍が可愛くいじらしいお話でしたが、本作は、違和感だらけの事件の謎を探偵視点で追うストーリー。 哀しい過去を持つ探偵と、孤独な冬樹が心を通わせるシーンがとても温かく、切なかったです。 ★42018/04/21
Yu。
29
資産家に送られた一通の脅迫状の捜査に乗り出す探偵と対峙する家族や関係者達のアリバイや素行が明らかになればなるほど闇が深まり、そしてとうとう。。悲しい‥ とても悲しい… 過去を持つ影ある探偵“三影潤”の推理劇と家庭内群像劇との調和が辛く悲しい音色を奏でます。2016/09/04
たか
22
三影潤シリーズ。本書と『緋の記憶』『夏の終わる日』『悪魔の爪』の4作読了。仁木雄太郎・悦子シリーズは明るいユーモアミステリになっているのに対して、本シリーズはハードボイルド風になっている。C評価2017/11/18
kinshirinshi
16
舞台は秋だが、タイトル通り、真冬のきんと冷えた空気が似合う、切なく美しいハードボイルド・ミステリ。探偵・三影潤と、孤独な少年との絆が胸に沁みる(チーズトーストにカーディガン、泣かせるなあ)。三影潤シリーズは先に短編集を読んでいたが、こちらは長編だけあって、彼の人柄や過去がだんだん分かってくる過程が良かった。自分のことを猫にたとえる、平凡だがやさしい顔立をした孤高の探偵。暗い過去を乗り越えたタフさと優しさが、少年や読者を惹きつける。仁木兄妹も好きだけれど、この探偵でもっと多くの作品を書いてほしかった。2022/02/16
雨ちゃん
10
若竹七海さん「まぐさ桶の犬」に仁木悦子さんの名前出てきたので、ひさびさに仁木悦子さん読みたくなって選びました。個人宅に電話が入りだしたころのお話。最近のミステリは凝りに凝ったものが多くて(それも楽しいけど)、このぐらいのミステリが今はちょうどよかったです。あの人とこの人が…だろなとか、あー犯人この人か…みたいなのは少し予想つきつつ。しかしこの結末、自分が主人公ならもっと自責の念に駆られちゃいそうだけどわりとサッパリ。この探偵さんのシリーズ、次もあるんだろうな。仁木さん、もう一作読みたいと思います。2025/04/12