内容説明
イケメンの貴公子と恋をしたい！
ドラマティック恋を求めて突き進む月冴姫とやんちゃな妖怪たちの王朝ファンタジー。
内大臣の美しい姫君・月冴姫は東宮の妃として入内を待つ身。
ある夜、屋敷の者が寝静まった頃、ひとり舞っていた月冴姫だが、ひとしきり舞い、休んでいると涙があふれて止まらない。
そこへ童子の姿をした天狗・外道丸が現れた。
入内する予定だった東宮が急死し、第二皇子が立太子されたが、御年まだ3歳。
入内まで10年あまり、恋もできず尼のような生活を送らなければならないので、毎日気分が滅入って仕方がない。
それが月冴姫の涙の理由だった。
「イケメンの貴公子と恋をしたい」と強く願う月冴姫の前に、妖怪たちが現れる。
化けるのが得意な狐の紫々、河童の猩々、鮫と人との間に生まれた人魚のような姿の鮫児……。
彼らの助けを借りながら、運命の恋に突き進んでいくヒロインの平安ファンタジー。
解説・木原敏江
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aika
49
田辺さんの古典への深い愛情が細部にまで感じられ、平安人の光と陰をあやかしファンタジーで楽しめるので、古典が苦手な方も夢中になれると思います。帝への入内が10年延び、自らの定めに悶々とする月冴姫。そんな彼女のもとに現れた若手(？)天狗・外道丸に導かれ、運命の恋の相手を追い求める冒険へ！純朴な医師、一本筋な東国男、思い悩める貴公子など、様々な身分や性格の男性たちの登場は田辺作品らしさ満載です。月冴姫の選んだ最後に選んだ相手が、どことなく「カモカのおっちゃん」に似ているように思えて、思わず笑みがこぼれました。2022/10/17
万葉語り
44
ラノベかと思ったら田辺聖子でビックリしたので図書館で借りました。月冴姫は東宮妃候補として育てられたのに、東宮が突然死し、次の皇太子が育つまであたら盛りを過ごす。そんな時に天狗や妖たちの力を借りて、お坊さんや吉野の薬草刈りや東国出身のいい男と知り合い、奔放に過ごす楽しい平安ファンタジー。漢詩や古文もちょいちょい出てきて楽しめた。2019-0752019/05/21
カピバラ
27
ライトで読みやすいのに、物語が軽くなりすぎないのは、作者の圧倒的な古典知識によるものではないでしょうか。月冴幸せになって良かったね！2020/01/16
びっぐすとん
18
【私的冬季課題図書 延長戦】110円本。平安物、田辺聖子となれば読むしかない。といってもこれはライトな平安ファンタジー。えっ、クイズ？オムレツ？冗談はよし子さん？信じられないワードが出てくる。とはいえ話は今昔物語などをベースにしたもので、天狗や妖怪が出てきてこれはこれで楽しくさらっと読める。いくらお家の為でも10年も結婚を先伸ばしにされ、しかも相手はうんと年下、その先も若い他のお妃と寵を競うなんて嫌だろうね。そもそもその10年を生きられる保証もない。現実は厳しいからこそファンタジーに助けられるってあるね。2022/01/02
くさてる
15
うっとりと読みました。恋に恋する無邪気な姫君が不思議な力を持つ小天狗とともに平安王朝の夜に舞う和風ファンタジー。がっちりした教養に基づいて素晴らしい日本語で描写される平安の美と、それでもあくまでこれはお話よ、とはさみこまれる現代語のバランスが絶妙。そしてなにより恋物語の部分がとっても素敵なのです。恋する男性の不器用なかわいさをこんなに巧みに書けるのは、田辺聖子ならでは。楽しみました！2019/03/23
