内容説明
海外作品の的確な紹介と洒脱な筆致による創作の両面から初期の日本SF界を支えた名手・都筑道夫。その唯一のSF短編集が本書である。流刑星にただ一人閉じ込められた囚人は、いかにして殺害されたか――「宇宙大密室」、あなたは60年後に殺されました、と語る男が訪ねてくる――「凶行前六十年」、自殺するには一千万の税金がかかる時代に、無一文で自殺に成功する方法とは――「イメージ冷凍業」などをはじめ、日本民話に材を採った、鼻たれ天狗が主役の連作など幻想小説まで幅広く収める。また巻末には中編SFスリラー「地獄の鐘が鳴っている」を書籍初収録。さらに日本におけるSF黎明期の出版活動について聞いた貴重なインタビューを加え、解説では都筑のSFにおける足跡を詳細に紹介した。【収録作】【未来への危険な旅】「宇宙大密室」「凶行前六十年」「イメージ冷凍業」「忘れられた夜」「わからないaとわからないb」/【心のなかへの奇怪な旅】「変身」「頭の戦争」/【機内サービス映画】「カジノ・コワイアル」/【民話へのおかしな旅】「鼻たれ天狗」「かけざら河童」「妖怪ひとあな」「うま女房」「恋入道」「一寸法師はどこへ行った」「絵本カチカチ山後篇」「猿かに合戦」「浦島」/【追加オプション 見知らぬ過去への旅】「地獄の鐘が鳴っている」/あとがき(ハヤカワ文庫JA版)/著者自身による解説(徳間文庫版)/翻訳SF黎明期 都筑道夫インタビュー/都筑道夫とSF=日下三蔵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hanchyan@ふむ……いちりある
25
「唯一のSF短編集」と帯の惹句。もっと一杯出てたような気がしてたんだが、印象に残ってる作品集の多くはホラーに分類されるらしい。それはともかく。ヘンな状況やヘンなガジェットが引き起こす顛末や現実世界の常識とはかけ離れた価値観を提示されるのがSFの魅力なわけだが、作者にかかるとそこにミステリとしての面白さも加わる。ほんとに多才なお方だなあ。正調(?)な本格ミステリの表題作、ワンアイディア+一捻りがいかにも黎明期SFな「イメージ冷凍業」。自分的ベスト「頭の戦争」がSFじゃなかったのがなんだか申し訳ない(笑)2015/09/23
ぜんこう
22
全部SF短編と思ったら違った。でもSFっぽくないのも面白い。特に「鼻たれ天狗」に始まる「民話へのおかしな旅」の章が好み(ちょっとエロっぽいけど^^;)。 それと、タイムマシンの親殺しのパラドックスのような話が2編ほどあり(一つは親殺し、もう一つは過去での現代人殺し?)、こういう考え方もできるのか、と感心しました。2017/09/02
けいちゃっぷ
10
40~50年前のだから仕方ないけど、古さは否めない。 まあまあ面白かったのは「イメージ冷凍業」「わからないaとわからないb」「変身」「地獄の鐘が鳴っている」あたりかな。 516ページ 2016/04/07
白い駄洒落王
7
全体的に古い。年代を考えればまあまあかな。2013/11/05
barcarola
6
あくまでも「宇宙大密室」は表題作ということで、いろいろなジャンルの短編が収められている。ちょっと古さも感じつつ。2023/02/12
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