内容説明
「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから。もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした童顔の小男こそ名探偵猫丸先輩その人である。いろんなところにひょっこり出没しては、おかしな謎を鮮やかに解き明かして去ってゆく、憎めない名探偵の最初の事件簿。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了し続ける正統派の本格推理作家、倉知淳が本格的なデビューを飾った連作集であり、最後には驚愕も待ち受けています。/解説=小野不由美/新版刊行によせて=倉知淳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hirune
51
オカルトか超常現象?不可能犯罪?みたいな事態にどこからともなく猫丸先輩という傍若無人で空気読まない変人が出てきて身も蓋もないが目から鱗の解決を披露する…という短編が七つ。そしてその作品を深掘りして考察する文章が二つ。倉知さんは自分の作品が大好きでずっと分析したりもっと結論をひっくり返したりして遊んでいたいのかなぁ。猫丸先輩がいつどんな風に現れるか楽しみに読みました😃2022/12/14
森オサム
48
猫丸先輩シリーズ第1弾。起きる事件は全て殺人事件で有るが、猫丸先輩のキャラのせいかユーモア交じりの作風。ただ、一冊を通して仕掛けが有る非常に凝った作りになっていて、さすがデビュー作と言った所でしょうか。20年以上前に旧版で読んでますが、当然記憶はすでに無く初読の様に楽しめました。新版には作者あとがきが付いていますので、未読の方はこちらをどうぞ。本格ミステリーへの入口としても、おススメします。2022/01/15
おぬち
34
猫丸先輩シリーズ第一弾にして作者のデビュー作!先輩とつくから学園で謎起きる系かと思ったが全然違った!いっぺん全然関係ない場面で事件がおこるんだけどひょっこり猫丸先輩が登場して解決してしまう短編集。どう登場するかも楽しめる。長編もあるみたいなので楽しみ!2019/10/24
geshi
33
新装版にて再読。デビュー作にしてユーモラスで嫌味のない市井の人を描くキャラクター造形が見事だし、7編の全てをタッチを変える語り口の手数、なんと言っても猫丸先輩の軽妙で押しが強いのに優しさを持ち合わせている名探偵像が素晴らしい。連作短編集らしいラストの繋ぎともう一つの真相まで本当に完成度高い。特に好きなのは、『約束』読んでいる途中で涙してしまうぐらい優しくも悲しく、謎解きによって成長を促すところは心から信頼できる。『海に棲む河童』のホラーテイストや真相の後味の悪さを緩和させる過度な解説も面白い。2019/02/05
見切り発車
27
久しぶりの猫丸シリーズ。猫丸先輩が繰り広げる推理はいささか雑ですが、このシリーズは謎解きミステリーの雰囲気を味わうもの。サクサク読めて最後に作者の遊び心もあり個人的には満足の一冊。2019/09/17