内容説明
サラリと重大な主張をする、単純なスローガンをくり返す、偉そうな理論や引用による「厚化粧」……こんな特徴をもつダメ議論が、会議やSNSでまかり通っていませんか? 本書はそれほどの専門知識がなくとも、そんな議論の「怪しさ」を見抜く方法を伝授。実例を交えながら、簡単なチェックリストにしたがって、論理思考を実践する方法をわかりやすく解説いたします。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
13
ニュースやコラムなどの情報を受け取った時に知っておくと冷静に分析できるポイントを教えてくれる一冊。本書のなかで例題として出ているのはニートや経済成長についての議論ですが、応用すればコロナの流行に関連して飛び交うさまざまな憶測などについても冷静に分析できるので今だからこそ読むべき一冊かもしれないと思いました。特に議論のなかで出されるキーワードはちゃんと定義されているかという点は会社の会議でさえなかなか守られていないので読んでいて改めて議題の設定の大事さを知った。2020/08/05
Nさん
4
「ダメな議論」にならない為に。本書は、世に溢れる言説の中にある「いい加減さ」を見抜くポイントを解説する一冊だ。普段、我々がいかに情緒的な言い回しや一見ソレっぽいデータに納得させられそうになっているかが分かる。それともう一点、自分に都合の良い意見、好きな考え方だけを受け入れて、その反対の意見には耳を貸さない。これも問題だ。なるほど、言説を検討する以前に、感情が理性を上回ってしまっているのだ。経済学者である著者が「ダメ」を見抜く5つのポイントを提示し、主に経済分野の怪しい言説のダメな部分を指摘する。(→続く)2021/06/20
しゅー
3
★★「ダメな議論」を見抜くポイント①定義の誤解▪失敗はないか②無内容または反証不可能な言説③難解な理論の不安定な結論④単純なデータ観察で否定されないか⑤比喩と例話に支えられた主張:まずは定義とデータ観察でフィルタをかけたい。⑤はよく目にする日常の話題からの類推を社会全体に適用するもの、歴史的な大事件を日常的な課題に用いるものに注意する。③が新鮮な視点だった。使い古された定番理論はより広い状況に適用できる半面、厳密な議論はあまりできない。一方、新しい理論ほど適用範囲が限定されるので議論での使われ方に注意だ。2020/08/28
kico
2
Twitter(に限らないが)で見られる偏った言説へのカウンター。 書として大変優れているとは思わないが(著者自身もあとがきで文体の欠点は自省している)、提案された価値のない・危険な議論を見抜く5項目の基礎的なチェックリストには異論なし。 仮に中学・高校それぞれで本書のエッセンスを発展させて学ばせることができれば、狭いコミュニティで編み上げた「常識」で他者を攻撃する人間が減るかもしれない。2022/04/18
ひじき
1
世の中に溢れる言説から明らかにダメなやつを見抜くスキルを身に付けよう、という本。なんか怪しい感じがするくらいのふんわり感で選り分けしていたところ、そのなんか怪しいにはっきりした基準が提案されることで、自信持って判断できそう。2018/12/09