ビール・ストリートの恋人たち

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ビール・ストリートの恋人たち

  • ISBN:9784152098290

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内容説明

冤罪で収監された恋人ファニーを救うため、彼との子を妊娠中のティッシュは奔走するが……若き恋人たちを描いたボールドウィンの名作が新訳で登場。アカデミー賞受賞作「ムーンライト」のB・ジェンキンズ監督により映画化。2019年初頭全国公開予定の映画化原作!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

381
【原書】時代は70年代初頭のニューヨーク・ハーレム。若い恋人同士の恋愛物語にとどまらず、著者の正義に対する主張、差別への憤り、哀しみがギュッと詰まった作品に仕上がっている。恋人同士の情景や、家族同士の絆も心地よく、山田詠美さんが影響を受けたという世界を覗き見た想い。ラストは多くの読者の予想を裏切るような…というか、かなり含みを残した終わり方で、わたしなどは3度読み返してしまった。うまいな❗️実際に読んだのは:https://bookmeter.com/books/44104132019/04/20

ケイ

145
漂う余韻に浸る読後。アフリカ系アメリカ人のおかれていた暮らし、家族の絆、信仰。そのどれにも矛盾がある。彼らの中での思い込みが、白人への決めつけが、自分たち自身から発する排除の心理が、こだまとなる。様々な人種のそれぞれの気持ちが、独りよがりにあちこちで絡まる、解けない。その中で橋を渡し、大きな視点を持つアーネスティンの強さが、私には希望に思える。若いふたりの強い愛も。「そして、結ばれた二人は、いつまでも幸せに暮らしました...」と終わる話は嘘っぽいと思う人には、訴えてくる作品じゃないかな。解説が素晴らしい。2019/03/23

しいたけ

95
読んでいる途中で映画も観た。映画と本、ワンセットで物語を堪能した。ハーレムで育む輝くような若い愛。そして胸をあたたかくする親子の愛。人種差別の重い罠。無実の罪で収監されるファニー。新たな命を宿しこの世に送り出そうとしているティッシュ。彼女もまた、母親から送り出された無二の存在。「馬鹿みたいに聞こえるかもしれないけど、覚えておいて。愛があんたをここへ送ったってことを。ここまで愛を信じてきたなら、今さらうろたえたりするんじゃない」。母親が本で、映画で、其処彼処でカッコいい。2019/05/09

ずっきん

73
時は70年代ハーレム。無実の罪で投獄された黒人男性を救おうと、妊婦である婚約者と家族が奔走する。人種差別、貧困、冤罪という悲愴な舞台上にもかかわらず、筆致は瑞々しく伸びやかで、開放感に満ちている。第二部冒頭の夢のシーンときたら、愛に溢れていて、はあー、エロい。立ち昇る紫煙や、所在なさげに浮かぶ細かな埃までがまぶたに映る。彼の見る夢が脳内を満たす。ああ、もう。肌をざわめかせたまま、泣きたいのか微笑みたいのかわからない。ボールドウィンは旋律と余韻の作家だなあ。『サニーのブルース』に続いて素晴らしかった。2021/05/14

Willie the Wildcat

70
人種間のみならず、人種内の差別や偏見に直面。問われる”軸”。道徳、宗教、そして価値観。体現する母シャロンと姉アーネスティンの存在感の大きさが印象的。言うまでもなく、最後のトドメはお腹の赤ちゃん。存在、権利を主張!ティッシュの心を代弁している感。もう1点は、ファニーの「希望」への心持ちの変化。物心両面での葛藤の果ての他力から自力、そして自己から自他への転換ではなかろうか。ベル巡査の理不尽さでもなく、被害者の偽証でもない。身に染み込む不変の愛情の自認。言葉じゃないんだよなぁ。 2019/05/06

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