内容説明
二〇一五年一月七日、パリ十一区で「あの事件」は起きた―泥濘と腐臭の中を彷徨い続ける彼らは、マリカの「愛の物語」に引き寄せられるように語り出す…「私」の話を。彼らはなぜ、「その線」を越えたのか?文学の臨界に挑む傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
南雲吾朗
54
間延びした生活を送っていた主人公は干拓により失われる生態系、壊れゆく慣れ浸しんだ景観を体験し喪失感をため込む。そんな折にフランスのテロ、秋葉原での衝動的無差別殺人を観てその衝撃により精神の均衡が崩れる。彼は聖地?(テロの現場)巡礼の旅に出る。物語の途中ではテロを起こした人々の心境、状況が描かれている。平和に慣れた日本人。この小説は日本の危機感の薄弱化が浮き彫りにされる。(続く)2019/02/28
rosetta
17
★★★☆☆シャルリー・エブド襲撃事件に題を取ったルポ風の小説。風刺漫画が気に食わないからと出版社を襲いその後印刷所に立てこもったサイードとシェリフの兄弟。それと呼応する様に警官を殺しユダヤ系の商店を襲撃したアメディ。要するにバカなDQNで陰キャがインチキのカリスマにいいように動かされた事件だという事だ。それに関心を持った有明海出身の一人の日本人が聖地巡礼の様に事件現場を訪ねる。泥海とは政府の気まぐれで突然干拓された有明海の死の海を表現している。作品の出来としてもこの日本人の存在が唐突で有効とは思えない2019/01/24
どら猫さとっち
5
評論家でフランス文学者である著者による、小説家デビュー作。2015年パリで起きたテロ。そこで生きた人たちの愛と日常。そして、日本で起きたあの事件を見た青年。パリと日本、場所を超えて起き得る危機。これほど極限のなかで生きる人たちの失望感と怒りと悲しみ、そして恐怖。読んだ今も、あの頃のパリの緊迫した街にいるみたいだ。2021/11/14
gokuri
4
帯と表紙につられて購入。淡々としたイスラム人?のフランス境における生活描写は恐怖の一層掻き立てる。海を閉鎖された有明に生まれ育った日本人の若者が、テロのあったフランス・パリになぜ引き付けられたのか、知る由もないが、なぜかとても不気味な雰囲気をかもしだしている。2019/01/13
新田新一
3
4月にパリに行ったので、その時のことを思い出しながら読みました。貧しさと社会不正に追い詰められて、テロに走るイスラム系のフランス人の若者の心境が描かれています。イスラム系のテロリストには良いイメージがありませんが、自分の理想を追求し、人の命を大切にする者もいることが分かります。後半では、閉塞感に押し潰されそうになっている日本人の若者も出てきて、フランスと日本がつながります。この構成が斬新だと思いました。私が見たパリは平和そのものでした。でも、この小説に書かれた暗黒面も秘めているのだと思います。2023/06/04
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