内容説明
日本新報記者・南康祐に、大手IT企業が不正献金をしているという政治家リストがメールで届く。真実なら政界を揺るがす大事件だが、送信者に心当たりがない。甲府支局時代に誤報を飛ばし、会社を窮地に陥れた過去がある身として、慎重にならざるを得ない。だが、本社に戻った今、特ダネを物にしたい思いは募り……。一通のメールから政治の闇を炙り出して行く記者が掴んだ真相とは! 傑作事件小説。
目次
第一章 名簿
第二章 不発弾
第三章 新たな疑惑
第四章 混乱
第五章 致命傷
第六章 頓挫
第七章 内なる圧力
第八章 幻の特ダネ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
79
新聞記者の「南」は誤報を飛ばした過去を持ち、会社に対して後ろめたい感情を抱えながら送っていたが、大手IT会社が不正献金を政治家に渡していたリストがメールで届く。本物か?偽物か?前科があるため慎重に事を進めるが…野党におちた議員の元にもメールが。総選挙もありそうな時期に舞い込んだ疑惑。政策よりスキャンダル絡みにしたい実情。ネットの規制という問題も浮上するが…あまりにも国民無視の争いに減なりする。こんな醜い政治家共で痛々しい。2019/06/02
Syo
45
さすが堂場瞬一。 誤報をした新聞記者。 二世の政治家。 メール。 報復。 結局、人間を動かすのは 憎しみなのか。 う〜む。2019/11/20
やじかな
21
メディア三部作の二作目。 夏→冬→秋で読みました。確かに、冬への伏線がたくさんあるし、冬前提のお話なので、なんというか…。 三池さん、黒いなぁ、やっぱり。そこまでするか、三池さん、って感じでした。 南くんが東京本社へ上がってきて、社会部で頑張っている姿を見られたのは、個人的には良かったです。 結果的にハメられて誤報を書くことになってしまって、二度とチャンスが与えられない、では悔しすぎる(もちろん、どんな理由でも誤報がいいことではない)。 堂場先生の新聞記者シリーズ、もっと読みたいです。2019/01/20
konoha
18
新聞記者が主人公のシリーズ物。警察小説シリーズのような緊迫感や華やかさはないですが、味わいがあって読みやすかったです。別の作品だと、誤断に雰囲気が似てる気がします。堂場さんが元新聞社ということもあり、記者の働き方や感情はリアリティーがあります。今回は、新聞社や政治のしがらみが描かれ、自分も会社という組織の一員として、共感する部分があるのが、堂場さん作品の良さだなと改めて思いました。ラストはビックリしたので、続編も読みたいです。2020/04/05
えみ
15
『警察回りの夏』の続編。主人公は新聞記者の南康祐。彼は前作で誤報を記事にしてしまい、社内で肩身の狭い思いをしている。その立場から脱する為、一発逆転のビックニュースを狙うが…。今作は情報社会の発展に伴う便利さと扱いの怖さが新聞記者と政治家の目線から描かれている。政治と情報の密接な関わりは普段の生活の中、ニュース等で目にしているが、活字として読むとなかなか怪しいオーラを醸し出す。難しいテーマで単純に面白かった‼とは言えないが、興味深い。ネタを記事に載せたいが誤報の恐怖から躊躇ってしまう南の戸惑いはリアル。2018/12/28