内容説明
上司や指導医に指示されたことはソツなくこなすのに、主体的に行動することが苦手な医学生や研修医。彼らはなぜ自分の頭で考えられないのか。そもそも日本の学校教育が、個人の主体性を涵養するように出来ていないのではないか。本書では、医学教育をケーススタディとして現状を精査、具体的な改善案を提示しながら、主体的に生きるとはどういうことか、主体性を教えることは可能なのかという問いを考える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
踊る猫
21
タイトルに惹かれ、特に前知識もなく読んだ。タイトルに負けた本かな、とも思う。この著者が語る「独りよがり」にも「コピー・アンド・ペースト」にもならず「主体性」を発揮して生きる術は、必ずしも明確に述べられているとは言い難い。著者の体験談や豊富な読書経験から「ヒント」を指し示すだけだ。だが、この本を鵜呑みにして生きるよりは「ヒント」からなにかを学んで活かす方が「主体性」が発揮されると思うので、それでいいのかもしれない。この著者、侮れない。だが内田樹を褒め過ぎだし、後半のサッカーの話は腰砕けに終わっているとも思う2021/05/01
ブック
8
コロナ禍の初期にダイアモンドプリンセス号の中に入り込んだ神戸大学の先生、岩田健太郎氏の2011年の著書。彼の主体性の解釈は私のそれとほぼ同じ。思考回路もとても似ていると感じたが、文章の中で見せる軽い口調は、あまり好みではなかった。けれど、主体性とは何かということについてはとても鋭い。医療に関する教育の在り方の話だが、最終章だけサッカー日本代表がモチーフになっている。そこがとてもわかりやすい。この本を読んで確信するのは、主体性は教えられないということ。できるのはヒントを与えることまで。自分で気づくしかない。2023/11/21
ちくわ
7
一医師である著者から見た「主体性」とは何なのか。著者は、医師としての職務をこなす中、また、医師の後輩達に教育する中でこの「主体性」というものを考えていきます。過去にどうであったからではなく、目の前の状況に応じて判断すること、「主張」ではなく「主体的であること」など、極めて曖昧な言葉の中で論は進んでいくのですが、実際、「主体性」というのはそういった曖昧性の中にしか生まれないものなのだと思います。2019/07/13
サトコだよ
6
看護師を育成するときにもいつも主体性とか自律性をどうすれば教えられるのか悩んでいる。 教えるものではなく、それに気づけるよう支援ができるような指導のあり方を考えないといけないなあと思った。これからも模索しながら頑張ってみようと思う。読んで良かった。2020/03/15
bookthinker
4
仕事をするなかで、支援先の自律、主体性の醸成に苦労しているため手に取った。 中盤で、「主体性は勇気とほぼ同義語だ」と定義された際には、自分の考える主体性のイメージとかけ離れて戸惑ったが、最終盤のサッカーの文脈から主体性を定義づけるあたりから俄然興味深く読み進めることができた。 特に、「主張」と「主体性」の違いや、「理不尽に対して正当性を主張をしても望むアウトカムは得られない」の部分はまさき自分が直面している課題だなと気付かされた。それにしても、答えを言わないことの難しさよ!佐々木監督の著書も読まねば。2020/03/21