内容説明
医療が高度に発達した現在、自分の生命の決定権を持つのは、自分自身? 医療者? 家族? それとも法律? 生命倫理学が積み重ねてきた、いのちの判断をめぐる「対話」に、あなたも参加してみませんか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コウメ
44
生と死は誰にも必ず起こりうる。命(生命)の終わりは、自然に訪れるものだった。呼吸が止まり、やがて心臓の鼓動が止まり、脳が停止する。死の過程を受け入れていた。しかし1950年代人工呼吸器、心肺蘇生、様々な方法で命をつなぎとめることができるようになった。それのおかげで、助かる命もあれば同時に医療器具による延命という倫理問題が発生!この倫理が難しい。どれが答えなんだろ?(;-ω-)ウーン本書ではブラックジャックや仰天ニュース、宗教観点から、書いてあった。分からない。2019/05/08
ふみあき
27
プロ・ライフとプロ・チョイスの妊娠中絶をめぐる伝統的せめぎ合い、つまり生命と非生命のラインをどこに引くのか? ローマ・カトリックの「受精の瞬間から一人の人間」という立場も極端なら(宗教的信念というのはそういうものだが)、女性の自己決定権を称揚したいフェミニストの考えも所詮、イデオロギーに拠った恣意的なものだろうし(P・K・ディックに『まだ人間じゃない』というフェミ批判のSF短編があった)。堕胎というのは満腔の賛意を表するようなものじゃないが、条件付き容認という中庸的なところに落ち着くしかないんじゃないか。2022/01/26
タルシル📖ヨムノスキー
23
そろそろ親の、いや可能性としては自分のゴールも考える年齢になって、学び直しの意味で手に取った本書。末期がん患者の命の選択、宗教と輸血の問題、中絶とどこからが「人」なのかという問題、結合双生児の分離手術、植物状態の人間の生存権と意思決定権の問題そして種差別の問題など、様々な角度から「命」について考える本です。どの問題についても明確な回答はなく、それぞれの立場から、そして様々な角度からこの問題について議論していくことが大事。本文中に度々登場するブラックジャック。やはり手塚治虫氏は偉大な人物なのだと再認識。2023/03/10
テツ
20
大抵の人々は先日の安楽死殺人のようなその手のニュースがあったときにだけ生命とそれにまつわる倫理観について考えるけれど、自分の生命について、生と死について本当はもっと深く考えなければならない。自分自身の尊厳と生命の維持について。生命の取捨選択と選別について。そこにはタブーなどなく、語らずに思考せずにそのままにしておいてよいことも一つもない。善と悪ではなく正解も不正解もない生命にまつわる問題についてひたすら考えるということは、自分自身の生と死について考えるのと同じだ。見て見ぬ振りはしない。考えよう。2020/08/03
おおにし
16
生命倫理学で扱われるケースは誰でも納得するような解答があるわけでもなく、どれも後味の悪いもやもやが残る。この入門書一冊読むのもなかなかしんどかった。できればこういう話題に触れずに済ませたいが、自分の死だけはそうもいかない。いざというときどういう死を迎えたいのか意思を示しておく必要がある。でもまだ先のことと、ついつい先送りしてしまうなあ。2015/10/22
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