内容説明
神戸静河は学芸員志望だったものの、縁あって採用されたのはイチビこと、地元の市立美術館の常駐警備員。警備システムの解除や正面玄関の開錠など、展覧会スタッフたちを迎えるためにいち早く出勤しなければならない。これが施設常駐の警備員のオシゴトである――。深夜に美術館裏の庭園で遭遇した不審な男の正体は? 巡回中の展示室で見た浮世絵が新発見の写楽? 展示物のブログ紹介がきっかけで神社の失われた御神刀が発見されたが……などなど、地道な警備のオシゴトと美術ミステリのコラボレーション! ミステリーズ!新人賞受賞作家が、京都の町と美術館を舞台に描く、連作短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
63
京都の美術館を舞台にした、アートにまつわるお仕事ミステリ。上方浮世絵や刀剣について、もっと知識があればより楽しめたと思いますが、さらっと読んでも十分面白かったです。2019/02/10
R
42
美術館を題材にしたミステリ小説。主人公が美術関係の仕事をしたいと願っていて、結局美術館付の警備員になったという微妙な立場ながら、美術館あるあるやら、様々な企画展で身につけた知識やらで謎を解決するお話で、まぁミステリさておき、華やかなキャラクタと世界観でとても楽しく読めた。贋作や美術館を使って、ある種の詐欺を働くというスキームは結構面白くて、実際そういうことが小さくは行われてんだろうなと思わされて唸ったのである。美術うんちくも面白くて、ほのぼの読めた。2024/09/15
うまる
36
美術館の日常系ミステリ。かなり古美術に関心がないと、読む事でストレスが溜まります。薀蓄部分が専門書のコピペみたいな長文。会話を混ぜて、わかりやすく面白く説明するという努力が皆無です。致命的なのは、我慢して読んだ薀蓄の大半が謎の解決に必要ない事。題名の京都は全く出てこないし、警備員という設定が活きているのは1話目のみ。あと、探偵役でも助手役でもなく、面白い事を言ったり事件を引っ掻き回す事もなく、場面に居るのに数ページ一言も喋らない事が度々あるという、影が薄くて存在意義のない主人公を見たのはこの本が初めてです2020/01/14
よっち
33
学芸員志望も果たせず、地元の市立美術館の警備員となった神戸静河。そんな彼女が京都の町と美術館を舞台に地道な警備のお仕事事情だったり、美術にまつわるに謎に挑むミステリ。深夜に美術館前庭園で遭遇した不審な男の正体、展示室の浮世絵は写楽か?騒動、展示物紹介が縁で見つかった神社の失われた刀剣など、美術館の中の人と一緒に挑む謎解きはなかなか興味深いお話もありましたが、学芸員志望の人が警備員になるのかなとか女性だらけの警備員とか、設定の方が気になってしまった感。話がこなれてきたらもう少し面白くなるかもしれないですね。2019/02/25
Nao Funasoko
32
少し前に「大名絵師写楽」を読んだ感想を投稿したところ共読の方からお教えいただき本書を知った。主人公の設定がイチビ(市立美術館)の警備員とまんざら知らない業界でもないこともあり具体的に想像しやすいこともありそれなりに楽しめた。連作短編4作中、2作が写楽絡み。知識の引き出し多くアイデアも豊富なようだがなんとなく角がたった文章というか引っかかる感が残るのは私だけか。北森鴻のような滑らかさがないという感じ。刀剣をテーマにした作品など未知のネタに引き込まれもしたので続編も期待したいところ。2019/02/26