内容説明
苦手な縫合の練習のため、シミュレーターに向かう内科医の副島。彼が担当した女性患者はある秘密を抱えていた(「最後の良薬」)。バレーボール日本代表の彩夏と、医者である姉の多佳子。二人は実家に向かう途中でトンネル崩落事故に巻き込まれてしまう。運転席に閉じ込められた妹に対して多佳子がとった意外な行動とは(「涙の成分比」)。医療の現場を舞台に描き出す、鮮やかな謎と予想外の結末。名手による傑作ミステリ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
132
★★★★★★☆☆☆☆医療現場を舞台とした長岡弘樹の短編集。地域課の警察官・浅丘は、腎不全の姉が主治医に対して密かな想いを抱いていることを知るが――(「小さな約束」)。「白衣の嘘」のタイトルどおり、医者が付く嘘や隠された秘密が鍵となる7編。序盤に披露される小ネタやエピソードが漏れなく回収されラストに至る。『教場』シリーズなどにも見られる技巧だが、無駄を削ぎ落し過ぎて「あぁ、これが伏線なんだな」と分かってしまうのが惜しい。「涙の成分比」のオチに「そんなバカな」とツッコんだら、実際にそのような文献があり驚いた。2025/07/21
KAZOO
118
「教場」や警察モノで楽しませてくれる長岡さんの医療に関する短編集です。6つの作品が収められていますが、警察がかかわったりするものもあります。中山七里さんまでとは言いませんが最後でちょっと工夫を凝らしている感じは私が愛読するオー・ヘンリーの作品を思い出させてくれました。もう少し長めでもいいという感じの作品もありますが長岡さんのものは短編が一番楽しめます。2026/02/15
あすなろ@no book, no life.
93
見事な医療ミステリ短編集。短編ミステリの旗手である長岡氏らしい。ラストの数行であっという謎解きを。どれもこれも鮮やかにメスが振るわれ過ぎて僕はその頁辺りを読み返し納得。緻密で計算された一見冷徹な伏線だらけの長岡氏特有のミステリ。上医は国を医し、中医は人を医し、下医は病を医す、は、勉強になったな。ネットで検索すると数々の医師の方々が座右の銘にしているよう。そしてこの銘がこの医療短編ミステリを総称しているかに読後想えたのであった。国を医やす迄は流石に出て来なかったが。2019/11/18
小説を最初に書いた人にありがとう
89
病院を舞台に繰り広げられる事件の短編集。「教場」の作者らしい苦さ、切なさの余韻が残る話が多かった。特に「涙の成分比」の姉妹の話が読んでて辛かった。教場は警察学校、今作は病院・医者、とテーマを決めては難しそうな気がするが、さすが短編の名手だな。2020/08/11
ベイマックス
84
6つの短編。推理物ぽく進むけど、ヒントは数多くちりばめられていて、考えるよりは、嘘(推理)の背景に切なくなる。人生色々、波乱万丈じゃなくたって色々あるよね。2024/08/05
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