内容説明
常務の彼を、多くの社員はまだ「英三さん」と呼んだ。経営者の一族でありながら、工場育ちで飾り気のない人柄がそう呼ばせた。戦後、退社を決意していた彼を会社に引き戻したのは、心情を一にしていた部下たちだった。しかし競争激化、新製品開発、流通改革の戦後史は熾烈だった。花王石鹸元社長・伊藤英三を描く傑作評伝小説。逞しくも爽やかな男の一生!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S.Mori
15
花王石鹸の社長だった伊藤英三の評伝です。ライバル会社との競争、事故、戦争と次々と困難が押し寄せてきますが、屈することなく花王を一流の企業に育て上げる姿に心を打たれました。決して奢ることなく、腹を割って部下と話し合う姿勢が素晴らしいです。部下も英三を慕い続けます。現在は会社の経営で効率と利益が重視されますが、その2つよりも大切なことがあることをこの本は教えてくれます。2020/04/27
まつ
6
戦前、戦後に渡り花王を支えた伊藤英三の生涯を描いた評伝。当然苦しいことも多いが、人と技術を育て花王の中興の祖となった伊藤英三の生き方は“仕事を生きがいとする”人生の理想のように思える。そして、仕事だけでなく趣味をも楽しんでいるところがまた凄い。題名は伊藤英三の好んで口ずさんだ河東節の「梅は匂いよ、木立は要らぬ。人は心よ姿は要らぬ」からとったものである。読んだのは数回目だが、今回は伊藤英三が一時花王から離れた際の「人は生きがいを失っても生きなければならない」という感慨が印象に残った。生きがいかあ。2020/05/24
しょう
2
貧乏くじや事故続きで読んでて辛いけど、展開あつい。2019/03/02
まる@珈琲読書
1
★★★★★2013/06/01
37
1
4.02016/09/18