内容説明
アラフォー主婦のユリはヨーロッパの小国のスパイをしていたが、財政破綻で祖国が消滅してしまった。入院中の夫と中1の娘のために表の仕事だった通訳に専念しようと決めるが、身の危険が迫っていて……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
168
軽い読み物でありながらどんどん死体の山が積みあがっていく。人間模様に深みはないが、暖かい家族の絆がそれとなく作品に香りを添える、赤川次郎らしい作品。東欧ってみんなからはこのように思われているのか。政情不安定で秘密警察の残党がいろいろ悪いことをしてたり、ステレオタイプだなぁと思いながらそれも楽しんでみた。往年の名画『シャレード』を、ちらっと思い出した。 2020/06/03
海猫
101
ごく普通の主婦・伊原ユリの裏の顔は、東ヨーロッパの小国のスパイ。しかし雇い主・ポメラニア共和国が消滅。それから駅のホームから突き落とされそうになるし、暗殺者に遭遇したり、危険な事態に。スパイといえど、ユリは情報収集してただけで語学に堪能なぐらい。特殊能力は無くそのぶん、サスペンスフル。翻弄されるユリが家族の危機が迫ると、腹が据わったのかだんだん行動的になる。後半になると状況の主導権を握ったり、諜報員さながらの立ち回りをするのが痛快。赤川作品の中で特筆すべき内容ではないが、一定のアベレージには達している。2019/10/08
ぱふ
31
普通の主婦が実はスパイ。面白いです。赤川さんは家族を話に絡ませるのがうまいですね。将来、スパイを目指してみようかな。2020/10/21
樋口佳之
31
中高生の頃著者の本読んだ時の楽しさ思い出したなあ。ちゃんと言うべき事は言っているわけだし。unlimitedにて。2020/06/03
みぃひ
11
今更初赤川先生作品。流石日本のミステリー小説を牽引されてきた作家さんですよね。作品自体は2000年に書かれたものでも、今も楽しめる。 すごく面白くて一気読みしてしまったんですけど、最後はいろんな登場人物(団体)が登場してきて、誰がどの側のものなのか、混乱してしまいました(自分の読解力の無さ) ミステリーとしてすごく構想が練られているし、その間に人の心の動きもさりげなく触れられていて、全体を通して洗練されています。 しばらくしたら必ず再読するし、これからたくさん赤川先生の作品を読んでみたくなりました。2021/12/02