内容説明
幕末、京の街を守護する会津藩士・古畑手志朗は、父親を何者かに惨殺された。呆然とする手志朗に、会津藩の仲間たちは仇討ちのため新撰組に加盟するよう勧める。そこは、野獣のごとき猛者どもが血の雨を降らせる、とんでもないブラックな集団だった。道場の稽古で叩きのめされ、夜の飲み会は慣れぬ花街。ひとを斬ったこともないのに市中巡邏で浪人と対決。泣きそうになりながら走り回る手志朗の前に、ひとりの少女があらわれた……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はじめさん
23
幕末の京都。父を不逞浪士に殺された会津藩士、手志朗。仇討ちを果たさねば家督を継げぬ鉄の掟、ならぬものはならぬのです。上司から不逞の輩に精通した集団・新撰組に放り込まれ、8番組長藤堂の預りに。会津は関派一刀流。我ら北辰一刀流とはいわば縁戚関係と、藤堂、山南、伊藤といった一刀流の「剣閥」に加えられ、あいつらは刀というよりヤクザの長ドス。無学うぜぇ…そう、アンチ試衛館派閥。鬼の副長土方歳三は会津藩士だからといって加減してくれず、変なことチクったらわかってるよな? とパワハラ。脱走は切腹だが、手志朗は逃げ切れるか2019/05/13
kosmos
23
主人公の手志郎とその親友がどこか現代っ子っぽいというかノリが軽くて、こういう時代小説も楽しいなぁと油断していたら結構心にズシッとくるものがあった。新選組の人でなしっぷりよ…テンポよく読みやすい作品だったので、過去作もチェックしたい。2019/03/11
あここ
9
お父さんの仇討ち?僕が!?で、新撰組に入隊!?何で!?いやいや僕研究肌なんすけど、剣は自信ないんですけど!?人の話を聞けぇぇ!!ってわさわさ思うけど上司と仲間の勢いに流される・・・謹厳実直な会津藩士から見たらもうホンマに浪人の集まりとしか思えへん新撰組。スッゴイならず者、ただの殺人集団に思えて怖かった。読みやすかってんけど結局お父さんのことはどうなったんか。臭わすだけでもやっとした。手志朗の投入も何かの作戦っぽかったけど。知らんうちスパイ的な。よう生きてられたねぇ。いとちゃん初めから怪しかったよ、初心な男2019/03/20
oyasumi
6
時代小説で、しかも父親が殺されたのに軽いノリだな‥と思っていたけれど、段々と引き込まれ、最後まで一気に読んでしまった。時代の流れに翻弄されたのは、主人公手志朗だけでなく、その時代に生きた全ての人かもしれない。2019/03/09
ゆうら
5
会津に帰参したならそうなるだろうな、と想像はついた。父の仇討ちのために新撰組に放り込まれ、自分とかけ離れた世界の中で、自分と向き合うことに。手志朗の父が同郷の佐川に語った言葉がいい。俯瞰した立場で物事を見定める、自分の行く道を決めることが大事なのだな。藤堂平助の覚悟も良かった。2020/02/09