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内容説明
特攻はなぜ始まったのか、なぜ止められなかったのか――。当時の内幕を知る海軍中堅幹部たちが「海軍反省会」で語った、知られざる真相とは? 「海軍反省会」とは、旧海軍の中堅幹部であったメンバーたちが、昭和55年から平成3年まで、131回にわたり行った会議である(全録は『海軍反省会1~11』としてPHP研究所より刊行)。この海軍反省会は文字通り、海軍の失敗を検証し、後世の参考に記録を残すことを目的としていた。その録音テープには、第二次世界大戦中に作戦計画や戦場での指揮をとった人々の肉声が、約400時間にわたって残されている。本書は、「海軍反省会」における膨大な議論の中の、「特攻」に関わる主要個所を取り上げてまとめたものだ。特攻の記録から、軍令部や海軍省、艦隊などの現場で「特攻を送り出す側」の現実と本音が鮮明に表れている証言を収録している。当時の様子が生々しく伝わってくるとともに、会を重ねていくなかで、特攻を巡る様々なことが明らかになってゆく。平成の終わりの今だからこそ、必読の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
87
地元図書館の戦争平和特集棚。 震洋?震海…?結構深く突っ込んだ兵器名とか作戦名が出てきて読むのは大変だった。そして新書にしては気合の入った分厚さ。著者さんは大和ミュージアムの館長さんらしいので太平洋戦争への思い入れは伝わって来た。 原爆と特攻に関する考察は意外な視点。どちらも無駄な死をもたらしたことにおいては共通。花神もいつか読みたい。2023/08/02
樋口佳之
35
みんな持っているんですよ、任務を。自分の与えられた任務を果たすには命なんか考えておれんと、これはみんな持ってますよ、特攻(開始)の前に。「特」とついたのはね、初めからこの任務は死ななけりゃ果たせないような任務を与えるということなんです。そういうことで特攻。それに「特」ついたんでね。命、身命を惜しまないなんてこれは当たり前ですよ、軍人は。特攻っていう言葉が今乱用されているような気がするんですがねえ。/それは反省会参加者の大半が当時(いろんな事情はあるのでしょうけど)自ら職業軍人を選択した方達だから2019/05/13
skunk_c
26
1980年から10年ほど続けられた「海軍反省会」の記録から特攻に関する議論をまとめたもの。潜水艦や人間魚雷「回天」に関する著作をもつ鳥巣健之助の問題提起を軸に、様々な元将校達の意見開陳がある。結論は一言で言えば、「特攻は作戦の外道であるが、特攻で死んだ若者の心意気は真摯・純粋なもので決して犬死にではない」といったところか。百田尚樹『永遠のゼロ』の構造そのものの鳥巣の論は、批判を急ぐあまり丁寧な証拠陳述になっておらず、また特攻が終戦を早めたとの論はかなり強引。重複した議論も多いが当事者の感覚を知るには良い。2019/01/26
金吾
22
参加者が海軍の佐官級の人たちなので知らない話も多く含まれており、参考になりました。しかし自己弁護と自家撞着の発言が多いの点と一次資料に根拠をおかない自説の羅列の点は日本のエリートの弱点を露呈していると感じました。「海軍反省会」という本は通しで読んだことがありませんが、反省に見せかけているだけではないのかなと疑念をもってしまいました。2022/02/02
CTC
13
18年12月PHP新書。同年8月に完結した『海軍反省会』から“特攻”に関わる主要箇所を抜き出し、再編集したもの。『〜反省会』は通勤電車で立ち読みできないフィジカリックな本のため読了は1冊のみ。よってかような企画は待望していたものだ。 本書は海兵58期の鳥巣建之助元中佐の発言を中心に進んでいく。氏は潜水艦隊参謀として回天特攻を送り出す立場にいた人物、終始特攻の意義を強調しつつ軍令部中枢の責任を問うている。論拠は自身の経験や調査というより、誰かの書いた本だったりで辟易だが、先輩方に切り込んでる訳か…。2019/05/29