内容説明
ほの暗さの向こうに、美しい世界が見えてくる
建築や灯り、漆器や芸能などを題材に、暗がりに潜む日本の美の本質を捉えた谷崎潤一郎の名作『陰翳礼讃』。「日本の美」を考える上でのバイブルとも言える1冊が、作品にふさわしい美しい写真とともに楽しめる、ビジュアルブックとして蘇ります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
100
日本家屋はもともと薄暗かった。子どものころはそんな暗さが嫌だったけど、今では懐かしさを感じる。「もっと上を、もっとより良く」を意識していた若いころは西洋的な考え方だったのだろうか。暗がりのなかに美を見いだす東洋人。陰を感じる美しい写真に魅せられつつ、東洋西洋の考え方の違いなどいろいろなことに思いを巡らす一冊だった。2025/08/05
はっせー
66
友人からのおすすめ本。陰翳礼讃。昔から名前を聞いていたが実際に読んだことはなかった。通読して思ったことは、現代に谷崎潤一郎がタイムスリップしたら、明るすぎて卒倒してしまうのではないかと思った!本書の内容としては日本の美学の根底にあるとされる陰りについて語ったものになる。なにより本書がいいのは、文章にあった写真が載っている点である。ちょっとおしゃれに陰翳礼讃が読める気がした!2024/08/23
肉尊
64
『陰翳礼讃』:レンブラント絵画に通じる陰翳の極み。日本家屋及び室内装飾品は元来、光と闇を巧みに取り入れていった。幼き頃より天井の木目などを心に焼き付けてきた私にとってこの作品は非常に親しみ深い。今でも実家の便所が豆電球であるが、艶めかしさや恐怖を感じる場合がある。かつてのお歯黒は「顔以外の空隙へ悉く闇を詰めてしまおうとして、口腔へまで暗黒を啣(ふく)ませたのではないだろうか」という指摘は流石だ。現代の照明は闇を放逐してしまったのではないか。女性美から万物の美しさにシフトした谷崎作品の転換点ともいえる作品。2021/12/27
TakaUP48
61
日本の建築の中で、一番風流にできているのは厠である/西洋紙の肌は光線を撥ね返すような趣があるが、奉書や唐紙の肌は、柔らかい初雪の面のように、ふっくらと光線を中へ吸い取る/(京都の老舗で燭台に替えて貰い)私が感じたのは、日本の漆器の美しさは、そういうぼんやりした薄明かりの中に置いてこそ、始めてほんとうに発揮される/椀が微かに耳の奥へ沁むようにジイと鳴っている、あの遠い虫の音のようなおとを聴きつつこれから食べる物の味わいに思いをひそめる時、自分が三昧境に惹き入れられるのを覚える/日本料理は瞑想するものだ。2021/11/01
紫羊
61
若い頃、せっせとお能を観ていた何年間かがあった。この作品もその頃に初めて読んだのだった。日本人の美意識について書かれた数多ある作品の中でも金字塔的な一冊であり深く心に残った。さらに今回再読したこの本は、とにかく写真が素晴らしかった。文章と写真の完璧なコラボに、何度もため息が出た。2018/05/07
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