内容説明
歴史上、多くの戦争が自衛意識から始まった。ナチス最高幹部だったヘルマン・ゲーリングは「戦争を起こすことはそれほど難しくない」と述べている。「国民に対し、我々は攻撃されかけているのだと危機感をあおり、平和主義者には愛国心が欠けていると非難すればいい」と。安倍政権は危機を誇張して「抑止力」や「自衛」の必要性を訴えている。「集団化」が加速するこの国は、その意味を深く考えないまま流されてしまうのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
45
色々感じるところはあるけど、アウシュビッツやポルポトの例を引くまでもなく、人間は時として、ためらいなく多くの同胞の命を奪い得る存在であることを、心に刻んでおきたいと思います。そしてそれを見つめる勇気が必要なことも。おぞましい100人斬り競争に熱狂した一般庶民も、イノセントとは言えないはず。筆者の後書きが刺さります。「あきらめない。同じことを言い続ける。書き続ける。だって自分が生まれた国だ。子どももいる。この国を愛している。」平成に読んだ最後の1冊。私もあきらめたくはありません。2019/04/30
阿部義彦
27
講談社文庫新刊、森達也さんの時評です。ダイヤモンド社のPR誌「経」に連載された「リアル共同幻想論」が下敷きだそうです。『そう言えば、安倍晋三と百田尚樹の対談本のタイトルは【日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ】悪い酒をのみすぎたのだろうか。思わず大丈夫ですか、と言いたくなる。』そして、現在の日本はもう無茶苦茶です。次の選挙では自民党以外に入れます。自民党を下野させて二度と復活させてなるか!もう我慢できねえ。2019/02/11
かふ
22
誰が読んでも憲法と自衛隊は矛盾する。それを解釈で通す。自衛隊を軍隊ではないといい、その論理が通らないと憲法改正だという。すべてそのパターンだ。最初が間違っているのだから後になって間違いの幅が大きくなるのは当然なのだ。アメリカから独立しない限りこの国は変われない。だから誰も責任を取らない。天皇制が続いているのもアメリカの日本を傀儡国家とする戦略だったという。自虐史観という歴史修正主義。ナチスの戦争映画は公開されるけど日本が行った侵略映画は公開されない。敗戦を終戦で幕を引く。朝鮮戦争やベトナム戦争があった。2021/09/10
ちさと
19
集団的自衛権の行使を容認する閣議決定が行われて10年。本書はその安倍政権の頃に雑誌に連載された記事を母体としている。他国から攻撃されても国民が殺されているのを眺めているだけの政府ではどうしようもない。従って自衛の戦争は禁止すべきではない。禁止すべきは他国を侵略する侵略戦争だ。だけど著者は言う。「自衛の意識は簡単に肥大する」大東亜戦争はアジアの解放が目的だった。ナチス政策も祖国民防衛が名目だった。そして今ロシアのウクライナ侵攻も自衛が目的である。武器を持っていると過剰防衛になりやすい。2025/04/05
Kei Ogiso
15
読まれてほしい本。過去の教訓を無駄にしないように。日本の資源状況、食料自給率を考えれば、戦争ができる国では無いのは明白なのにね。だからこそ外交にセンスが求められるのだが。『「誇り高くて気高い私」などと言われて友人になりたいと思うだろうか。』のくだりは笑えるけど、その通りだと思う。2019/02/01
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