内容説明
歴史を問うことは、現在を問うことである。大好評のシリーズ最終巻では、マクロな視点で世界の歴史を通観し、現代人が直面する問題へのヒントを探る。急増する人口と資源、人類の移動・定住と海、宗教がもたらす対立と共生、世界史のなかの日本、そして、人類誕生の地・アフリカの現状。新たな世界史像を日本から発信することをめざして、文明の来し方とこれからを「人類史」の視座から多角的に論じる。全21巻完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
atlusbou
2
興亡の世界史シリーズ最終巻。タイトルからして総まとめの本なのかなと思っていましたが、章ごとにテーマを持った論文の集まりという印象を受けました。各章で著者が異なるので粒度や視点に差がありますが、どれも興味深かったです。個人的には、海の章が一番好きでした。2019/06/15
マウンテンゴリラ
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冒頭からの、「世界史はこれから」という言葉には意外という印象を受けたが、中身を知ると、なるほどその通りだと、納得のいくものであった。私自身、世界史に関しては、受験の選択科目に選ばなかったこともあり、基礎的な知識不足といった点は認めざるを得ないが、それでも、いや案外そのおかげとも言えるかもしれないが、日本の歴史教育、特に世界史という分野における偏見には、違和感を持ってきた。というのも、実は学校教育を終えて、様々な本に触れるようになってからの、後付けの印象ではあるが。その偏りとは、もちろん第一に、→(2)2023/11/14
kayaki
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テーマは「人類の興亡」よりも「新たな世界史像」を重点に置いた構成。人口から見る世界史、海の世界史、宗教の世界史、といった具合で、多角的視点から世界史を構成し直そうと試みられている。日本の世界史でとくに改善すべきは、アフリカに関する記述があまりに少ないことであろう。また、アフリカは貧困・紛争・疫病などがあるという「アフリカ・スキーマ」〔本書263頁〕が、それ以上の理解を阻んでいるそうだ。南アフリカやケニアの大都市は、跳躍的なまでに経済成長を遂げたことを知らないままでいる。多様な世界史像を、もっと見なくては。2022/02/26
KN69
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講談社学術文庫といえども、すごく読みやすい。ジャレド・ダイヤモンドの著作なんかにも通じるのだけど、歴史には地政学的な理由があるのですね。特に、5章アフリカが興味深い。近代のヨーロッパ中心の視座があたかも歴史とみなされてしまっていたとは。2020/03/07