内容説明
和歌と漢詩。古代東アジアに誕生した二つの傑出した言語芸術は、それぞれ共通点を持ちながらも、独自の世界をつくりあげてきた。本書は、両者の「恋歌」を入口に、その豊穣な世界を逍遙し、魅力を語る。そして古代の日本と中国に生きた人々の心情と運命に迫る。日中の文化をともによく知る気鋭の比較文学者による、渾身の一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
2
日本文学を研究する中国人ならではの視点が出ていて非常に面白かったです。抽象的な比較論ではなく、具体的な詩人・歌人を対にしているのですが、このチョイスが面白い!在原業平と曹植、この二人を「禁じられた恋」で結びつけ、その表現形態の違いを辿りそこに見られる日中文化の違いを論じる、というように。建礼門院右京太夫と李清照なども、それぞれ有名ではあるけれどその二人を比較するという発想、そして見えてくる世界が斬新すぎて、感嘆の連続でした。2019/09/03
きくちいいこ
2
思いがけず良かった。漢詩と和歌の関わり、はっと新しいものは無くても、その紡ぎ直し方が良い。著者は日本語で育っていないといったような文があるまでそのことに気が付かなかったのだが、むしろ漢詩に親しんだ方だそうだ。(あとがきにある、祖父との漢詩の思い出はぜひ読んで欲しい。)漢詩と和歌に対する繊細でどこか複雑もあるような気持ちが表れているようだった。2019/02/04
読書記録(2018/10~)
0
漢詩を土台とした和歌、両者の共通点と相違点。興味深いテーマだが、書籍を読むのは初。全体的には、まず著者が中国人で、幼いころ祖父に漢詩の朗誦を教え込まれている体験、日中の文献を自在に読み取り文化に親しめる能力も、ほぼ同世代の無教養な日本人の自分と違いすぎて素晴らしい……。白居易の漢詩のみが日本(平安貴族)に著しく受容された流れが平易に読み解かれていて、面白かった。2022/02/23




