内容説明
「考えるな、感じろ」とブルース・リーは言った。計算を間違い、マニュアルを守れず、ふと何かが降りてくる。すべて知性の賜物である。今こそ天然知能を解放しよう。人工知能と対立するのではなく、想像もつかない「外部」と邂逅するために。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yutaro13
33
人口知能や自然知能は知覚したものだけを自分の世界に取り込み、外部の存在を認めない。一方、天然知能は「知覚できないが存在する」外部を受け入れる。それはゆるっとしていてダサカッコわるいのだが、人口知能の発達により、定量化し評価し比較する能力主義が全面化する今、唯一創造性を持つ知性として意味を持つものとなっている、らしい。文章は優しいが概念はなかなか難しいので、細切れに読むより一気に読みきってしまうべき本。2019/09/15
Kentaro
26
天然知能は、人工知能の対義語ではなく、天然が元来持っている、「ピントのずれた感覚・性格」を揶揄する、日常的に使う「あいつは、てんねんだな」の天然から派生する存在だ。世界に対する対処の仕方は、三つに大別される。人工知能の対処の仕方、自然知能の対処の仕方、天然知能の対処の仕方です。これを、身近な虫や魚に対する向き合い方において考えます。第一の人工知能が「自分にとっての」知識世界を構築する対処、第二の自然知能が「世界にとっての」知識世界を構築する対処であったのに対し、天然知能はただ世界を、受け容れるだけです。2019/02/20
塩崎ツトム
22
「決定論・局所性・自由意志」の項がとてつもなく、SF作家が「意識の前に準備電位が発生する→つまり意識は幻」で理解が留まっていたところをさらに進歩させ、我らの呪術的思考の根幹や、自閉症スペクトラムや統合失調症の理解にまで深度を深めていく。すごすぎるが、自分の頭が悪いので、これ以上、どうスゴイのか説明できないのだ。2023/02/07
あっきー
22
⭐3 天然知能という新しい言葉に置き換わっただけかも知れないが無意識、深層心理、道タオなど人によって異なる先入観がある言葉で曖昧なまま押しきられるように説明されるよりは良い、共同体と自己が相似形で関係している説明とミラーニューロンあたりがもう少し理解できればなー、自分にはチト難しく、もう少し易しい要約と最後にまとめがあればなんとかなったかもと思うがかなり核心に迫っていた本だ2021/01/26
りょうみや
21
いわゆる人工知能に対して自然知能と天然知能というものを定義して多面的に比較している。「フレーム問題」への対応や「箱の外を考える」、「無知の知」と同じがその拡張版という印象で、正直分かりやすくはない。天然知能の定義だけで終わってしまう内容。2022/07/26