内容説明
その生と死は、生物とはどこかずれている。分解された親から複製され、破壊されても蘇り、体を捨て情報として潜伏し、突然実体化する。生物の常識を問う書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
40
【コロナ27】現時点での一般読者向けウイルス論の決定版だと思う。視野が広く、それでいて細部をゆるがせにせず、かつわかりやすい。何冊かのウイルス関連本で、もっと知りたかった点や疑問に思っていた点の多くについて、なるほどと膝を打った。驚くべきエピソードの集積。ひとえに、熟達した研究者の正統的な科学啓蒙書だからなんだろうと思う。詳細な参照文献(日本語文献はほとんどないが)が付いているということだけでなく、一見教科書的な淡々とした筆致で事実を積みかさねることで、著者の主張が自ずと浮かび上がってくるのだ。↓2020/07/03
yumiha
34
誌友さんの評価が高かった本書。読んで1番驚いたのは、ゴキブリよりも(もちろん人類よりも)はるか昔から生存していたこと。2番目は、ウイルスは自分の外からやって来るものだと思っていたけれど、「ヒト内在レトロウイルス」をすでに持ったまま生まれ暮らしてきたこと。私の持病のリウマチも、そんなウイルスが関係しているらしいこと。3番目は、海や湖などにオソロシイ数のウイルスが浮遊していること、など意外な事実がたっぷり。人間ならば都市という人口密集地、動物ならば自然とは違う密集した飼育環境がウイルスの増殖を高める。2020/09/22
アナーキー靴下
26
「ウイルスの世紀」と同著者による本だが、こちらは2018年12月発行で、当然新型コロナウイルスに関する話はない。そもそも切り口自体がウイルスの起源や特性といった風で、より生物学的な様相の本。とはいっても内容は難しすぎず、それでいてウイルスの知識を包括的に得られる良書。ウイルスと付き合ってきた歴史も、こちらの本の方が古い時代からの話が載っていて、天然痘を題材にした話も多い。ワクチンを届けるための「生きた輸送車」の話や、テロ利用の脅威など興味深かった。総じて、ウイルス凄い、と唸るしかない一冊。2020/10/14
Tadashi_N
22
生物とは何か、動物とは何か、話は宇宙にも繋がる。2021/05/20
そふぃあ
21
様々なウイルスの話題を幅広く取り入れながらも、初心者でもウイルスの概要が体系的に掴める良書だと思いました。ウイルスがどこから来たかに関する三つの仮説が面白かった。また、掻い摘んで、生命の定義が「self-reproduction with variations (変異を伴う自力増殖)」という3つの単語で表現出来るが、そこにウイルスが当てはまるかは曖昧というのが印象的。ウイルスがセントラルドグマを無視することも本書で初めて知った。 新型コロナに関連する著作、『ウイルスの世紀』も合わせて読みたい。2020/09/23
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