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内容説明
ルネサンスとともに幕を開け、第一次世界大戦によって終焉を迎えるヨーロッパの近代。アジアやイスラームに後れをとり、その形成期にはさほどの経済力・軍事力を備えていなかったヨーロッパが、20世紀初めには人類の半分以上を支配するに至った。なぜ、この時代に世界を席巻することができたのか? それを可能にした力の根底には「宗教と科学(の相剋)」がある。本書はこうした視座から、近代ヨーロッパが世界史を一変させた秘密をよみとく試みだ。時々の時代精神を体現した8名の歩みを糸口に、激動の500年を一望のもと描き出す。
目次
はじめに 「ヨーロッパ」とはなにか/第一章 ルネサンスの誕生/第二章 宗教改革の衝撃/第三章 近代科学の誕生/第四章 市民革命のさきがけ/第五章 啓蒙主義の時代/第六章 革命の時代/第七章 人類は進化する?/第八章 ヨーロッパ時代の終焉/おわりに ヨーロッパ近代とはなんであったのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
75
ルネサンスから第一次世界大戦までのヨーロッパの歴史をダ・ヴィンチ、ルターからレーニンまでそれぞれの時代を代表する人物を通して概観した一冊。伝記として読める一方で、ヨーロッパ近代化の流れをも掴めるという意味で一粒で二度美味しい造りとなっている。本書で近代のポイントと挙げられているのは「宗教と科学」の関係と「個人」の発見。あと個人を通して歴史を見るという構成から、一部重大な割には記述の薄い部分もあるように思えた。フランス革命とか世界大戦とか。ただ通史として読むよりは遥かに面白いので、一気に読み切りました。2020/07/28
樋口佳之
66
ナポレオン戦争はヨーロッパ中で五〇〇万人以上の命を奪う大惨事であった。これより一世紀後の第一次世界大戦(一九一四~一八年)が八〇〇万から一〇〇〇万人の戦死者を出したのに比べても、その壮絶さがわかる/人物を連ねていく構成は読み物として咀嚼しやすいし、世界史勉強中の方の副読本にもなるのでは。/ただ最近読んだ本との関係で、奴隷制度についてはその廃止に触れているのみです。切り口は面白いですが、視野はオーソドックスなヨーロッパ近代史だと思います。2022/02/19
skunk_c
42
ルネサンスから第1次世界大戦までの時期について、8人の人物をそれぞれの象徴として位置付け、その評伝を軸に歴史を語るという、いわゆる通史とは異なるスタイルで叙述される。このためとても生き生きとした歴史書となっている。特にフランス革命期の代表を行政官僚としてのゲーテにするという着目は、その歴史を相対化する点で斬新。これはおそらく著者が革命という悲劇を伴う変革方式に批判的なせいとも思える。ただ、残念なのはヨーロッパの対外膨張、特に南北アメリカ大陸の果たした役割についてやや弱いこと。あえて省いたのかもしれないが。2019/04/19
trazom
40
ヨーロッパ史は、時間軸と空間軸の双方をきちんと押さえないと事柄の連関をつかみにくいものだが、この本は、15世紀から20世紀のヨーロッパの姿を俯瞰できる見事な「語り物」になっている。「宗教と科学の相剋」というのが切り口だが、8つの章それぞれを代表する人物の選定が絶妙である。特に、18~19世紀を描くのに、ヴォルテール、ゲーテ、ダーウィンと続く人選は成程と唸らされる。知っている歴史的事実が、これらの人物を媒介として、見事に生き生きと紡ぎ出される。世界史では、美術に比べて扱いの低い音楽史が活躍するのも、嬉しい。2019/04/12
ホークス
35
2019年刊。近代欧州はなぜ突出した文明を築けたのか。ダヴィンチ、ルター、ダーウィン、レーニンなど8人の人生から考察する。具体的で分かりやすい。諸勢力の激しい盛衰、時代と場所による違いも面白かった。以下は自分用のメモ。キリスト教秩序に沈滞していた欧州は、オスマントルコから古代ギリシア文明を逆輸入して変わった。その影響は諸科学を革新し宗教改革を起こした。欧州は各国が大帝国に統合されず牽制し合ったお陰で、個人を確立する余地が生まれた。ダヴィンチがやり手だったり、地動説の支持者が意外といた等、こぼれ話も楽しい。2024/11/15