プリズン・ブック・クラブ - コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

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プリズン・ブック・クラブ - コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年

  • ISBN:9784314011426

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内容説明

カナダの刑務所で月に1度開かれる読書会。ボランティアとして関わったジャーナリストが見た、囚人たちの変化とは重罪犯を収容するカナダのコリンズ・ベイ刑務所で定期的に開かれる読書会。
『怒りの葡萄』『またの名をグレイス』…刑務所内での本をかこんでのやりとりを通して囚人たちは読書の楽しみを知り、自らの喪失感や怒り、罪の意識について吐露し、人種や宗教の壁を越え、異なる意見の持ち主の話にも耳を傾けるようになった。
1年間ボランティアとして運営に関わったジャーナリストが見た、囚人たちの変化とは。
胸に迫るノンフィクション。

目次

1 墓地でのウォーキング
2 約束は守られた(モーテンソン『スリー・カップス・オブ・ティー』)
3 あなたは正常ですか?(ブラウン『月で暮らす少年』、ハッドン『夜中に犬に起こった奇妙な事件』)
4 Nで始まる差別語(ヒル『黒人たちの物語』)
5 きれいな朝焼けは看守への警告(ミストリー『かくも長き旅』)
6 夏に読んだ本 
7 読書会という隠れ蓑(シェイファーほか『ガーンジー島の読書会』)
8 グレアムとフランクの読書会(ギャロウェイ『サラエボのチェリスト』)
9 この環境に慣らされてしまったのさ(ジャンガー『戦争*』)
10 虐待かネグレクトか(ウォールズ『ガラスの城の子どもたち』)
11 今日一日を生きなさい(スタインベック『怒りの葡萄』)
12 刑務所のクリスマス(オー・ヘンリー『賢者の贈り物』『警官と讃美歌』、エリオット『賢者の旅』)
13 三人の読書会(ラーソン『第三帝国の愛人』、グラッドウェル『天才! 成功する人々の法則』)
14 島の暮らし(レヴィ『スモール・アイランド』)
15 もうひとりの囚われびと(ヒルシ・アリ『もう、服従しない』)
16 傷を負った者(ドイル『ポーラ――ドアを開けた女』)
17 容疑者たち(ボイド『ありふれた嵐』、スワループ『6人の容疑者』)
18 善は悪より伝染しやすい(アッカーマン『ユダヤ人を救った動物園』)
19 史実を再構成する(アトウッド『またの名をグレイス』)
20 最後の読書会(『またの名をグレイス』ふたたび)
21 巣立っていったメンバーたち

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょき

143
刑務所の中で受刑者らで同じ本を読み、その感想を読書会で話し合う。様々な犯罪を犯してきた彼らは読書を通じて自己を振り返り行いを正し社会へ復帰していく。本そのものは、その読書会で取り上げた本とその読書会の様子を繰り返すだけで特にドラマラスな局面もなく単調で退屈な面もあったが、色々と興味を引く小説も登場した。自分自身「読書会」をする相手もおらず、本の内容について語り尽くすパートナーもおらず、ちょっと寂しくかつ羨ましくも感じた。中で紹介された本のうちのいくつかは機会があったら読んで見たいと思う。真面目な感想だな〜2017/02/28

マエダ

141
本書はコリンズ・ベイ刑務所で開かれた一年間の読書会を綴ったものだが、ジェラシーを感じてしまう程に面白そうな読書会である。あらゆる角度から一冊の本についての忌憚なき意見を述べる、人種問わずの濃いメンバー、本を読み込む時間、刑務所と読書会の破壊力は抜群である。2016/11/17

Nobu A

113
アン・ウォームズリー著書初読。16年刊行。翻訳を手掛けたのは先日読了の「読書会という幸福」著者、向井和美。出合いも当該本から。日本の現状は勉強不足だが、多種多様な人々が営む社会で他者への共感を育むことが可能な読書、そして複眼的な視点を与えてくれる読書会の良さをカナダの刑務所で開催された実話が教えてくれる。簡単ではない。運営費の捻出、課題本選定、ファシリテーターの力量、参加者の協調性等、複数の要因が絶妙に絡み合い起こる現象。出所後再び犯罪に手を染める者もいる現実は厳しいが、社会復帰への教育の大切さを感じた。2024/03/18

藤月はな(灯れ松明の火)

109
色々、行き詰まっていたアン・ウォームズリー(アニー)は友人、キャロルにコリンズ・ベイ刑務所での読書会に誘われる。過去に強盗に襲われたというトラウマを抱えながら恐る恐る、読書会に参加したアニーを待っていたのは多彩で聡明な受刑者たちだった。やっぱり、読書は人を繋げるのね^^フィクションと映画が好きな私としては受刑者達の言葉が頭に痛くも彼らの読む本に興味をそそられっぱなし。でも映画ネタもあります!彼らの行く末も記されていて安心すると同時にピーターが心配。最初と最後でアニー自身の父への愛が伝わるのも素敵でした。2016/11/11

はやしま

109
カナダの刑務所内での読書会の記録。課題本に隠れた欺瞞を見透かした者もいて受刑者たちは読み手として興味深くまた魅力的。特異な人生経験故か分析力ある感想があって目が開かれもするが、ややお行儀の良い感想が並んでいる印象も。受刑者たち自身が読書会を活発化させ移籍先の刑務所や仮釈放後に読書会を立ち上げる様には読書(本)が持つ力を感じる。犯罪被害者だった著者が受刑者たちと友人として交流しているのを普通のことのように読み進めたが、読書会メンバーで仮釈放中に罪を犯して刑務所に戻された者もいた。更生の難しさという現実。2016/10/24

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