内容説明
氷室大造、75歳。妻に先立たれてから、楽しみといえば近所の公園で老人仲間と会うことくらい。このまま静かに人生の幕は閉じていくように思われたが、晩春のある夜、とんでもない「まさか」が起きる――。騙されることへの不思議な感覚、亡き妻への思い、罠を逆手にとる知恵。独居三老人が繰り広げる「詐欺」の物語は、ユーモアと切なさを漂わせつつ、ついに唖然とする結末を迎える。人生の味がする熟成エンタテインメント小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
99
小学生の頃読んでいた、ズッコケ三人組シリーズの作者が描く、独居老人とたぬきのハートフルストーリー。ズッコケ三人組がそのまま老人になった感じの、お爺さん三人組が主人公。妻に先立たれた三人の楽しみは、夜の公園に現れる狸に餌をあげること。ある晩、あり得ない“まさか”に遭遇…。オレオレ詐欺や免許返納、亡き妻を思う切なさなど、この年代ならではのトピックが『狸が人間を化かす』設定に巧く絡んでシュール。日々新しい発見をする子供みたいな三人組に、ほのぼのしたり、切ない気持ちになる可愛らしいお話です。★42019/11/20
itica
64
七十歳代のじいさん三人と一匹の狸の物語。狸は化かすもの、と言ってもこれは想像を上回る。独居老人の寂しい暮らしに彩り以上の生きがいを与えてくれた狸。しかし結末が・・・。ユーモアでオブラートされているがせつない話でもある。必要以上に美化しない淡々とした筆致が、この作家さんの持ち味なのかな。 2019/01/17
はる
63
75歳で一人暮らしの大造はある夜、公園で人に化けるタヌキと出会う。大造はタヌキに5年前に亡くした妻に化けさせ、一緒に暮らし始めるが……。ズッコケ三人組の那須さん。さすがに読みやすく巧みなストーリーテリング。タヌキが化けると、その人の性格や記憶までコピー出来る、というのは魅力的ですが…。何というか、男性作家らしい作品ですね。奥さんやタヌキのアイデンティティは?主人公が悩み葛藤する姿があればもっと深みが出たような。2019/03/26
ポチ
62
やっぱり狸は化けるんだ!(笑)なんとも優しく賢い狸の恩返し?のお話。サラッと読めて息抜きにちょうど良かった。2019/05/23
takaC
48
化けタヌキのおもしろ話。2019/05/19