内容説明
「人間はみな死ぬる。解り切ったことである。然し誰しも直ぐ死ぬるようには考えていない。」(「せみと蓮の花」)――老境の童話作家が、過ぎ去った起伏の多い人生と、なつかしい人々への愛憎こもごもを、昔語りにも似た闊達自在さで描いた10篇。幼少期の思い出、肉親との葛藤、師の鈴木三重吉、小川未明のことなど、〈童心の文学〉といわれた譲治の心の陰影が、ユーモアに包まれて独得の味わいを醸し出す。
目次
せみと蓮の花
三重吉断章
二十の春
母
遠い昔のこと
魔性のもの
戸締まり合戦
こわがり屋
昨日の恥
昨日の恥 今日の恥




