内容説明
15世紀以来、スペインやポルトガルはキリスト教布教と一体化した「世界征服事業」を展開。16世紀にはアジアに勢力を広げた。本書は史料を通じて、戦国日本とヨーロッパ列強による虚々実々の駆け引きを描きだす。豊臣秀吉はなぜ朝鮮に出兵したのか、徳川家康はなぜ鎖国へ転じたのか、伊達政宗が遣欧使節を送った狙いとは。そして日本が植民地化されなかった理由は――。日本史と世界史の接点に着目し、数々の謎を解明する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
72
15世紀からの大航海時代。ポルトガルとスペインが海外進出を競い、教皇承認のもと世界分割の縄張りを決めた。日本は戦国時代。種子島鉄砲伝来。イエスズ会宣教師ザビエル上陸。覇権は信長から秀吉へ。ほぼ日本統一を果たし朝鮮へ。著者は秀吉の出兵は耄碌からではなく、列強進出に対する戦略であったとする。それはどうかな?と思うが、日本侮れずと認識させ、武力征服を諦め前段としての布教活動という解釈には納得。引き継いだ家康も交易には未練を持ちつつ、結局、布教禁止、鎖国へと。伊達正宗の遣欧使節派遣の経緯など他にも読みどころ満載。2018/05/17
もりやまたけよし
65
信長から家康までの時代の外交関係をテーマにした読みものという変わった視点での歴史読み物。伊達政宗と遣欧使節団も絡めてある。情報量は多く知らないこといっぱいでした。2019/05/15
パトラッシュ
61
スペインとポルトガルがカトリック布教と植民地化を同時進行させていたのは有名だが、日本もその目標であり在日宣教師の間で常識だったとは本書で初めて知った。その支配領域の広大さから決して妄想ではなかったはずだ。これに対し信長は「日本征服など不可能」と見たが、秀吉は逆に「こちらから攻めてやる」と朝鮮出兵を断行した。これで日本の軍事力に恐怖した欧州勢は家康を「皇帝」と呼び、植民地化をあきらめたとの視点は斬新だ。幕府と伊達政宗の権力闘争にも対欧外交が関わっているなど政治と外交を同時に見ることの重要性を認識させられた。2020/02/29
sayan
60
宣教師による大量の文献(特に、それらをもとにスペイン・ポルトガル内部でのやりとり)を下地にした著者の説明は、生々しく迫力を感じる。本書で取り上げる、朝鮮出兵、禁教政策、志倉常長の欧州派遣はに対する著者の「見方」は明快で、説得力がある。一方●●史観・通史の長らく慣れか、新説を懐疑的に捉えがち。特に、戦国期の伝来から、弾圧を経て江戸時代の終わりまでの隠れキリシタンをを描いた帚木蓬生の「守教」を同時期に読んでいたので、ギャップに戸惑う。歴史に対して一方的に性急な見方を持つよりも様々な視点に触れていきたいと思う。2018/10/14
yamatoshiuruhashi
56
なぜ日本は西洋の植民地にならなかったのか。幕末の動乱を乗り切り現代に至るまで列強と伍して独立を保てた事実の背骨は、戦国時代に求められる。群雄割拠の戦国時代、そしてそれを統一したことにより日本の軍事力は当時世界最強であったスペイン、ポルトガルの侵略意図をはねつける実力を持っていた。それを明示したのが「朝鮮征伐」である。宣教の名の下に世界を侵略し異民族を大量虐殺することが神の御心に叶うとした西洋は、日本を「帝国」として認め宣教師の派遣=日本の侵略を諦めざるを得なかった。2020/05/22
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