内容説明
雪山の洋館での殺人。犯人は双子のどちらか。なのにいずれが犯人でも矛盾。この不可解な事件を奇蹟の実在を信じる探偵・上苙丞(うえおろじょう)が見事解決――と思いきや、癒やし系天才美人学者の硯(すずり)さんは、その推理を「数理論理学」による検証でひっくり返す!! 他にも個性豊かな名探偵たちが続々登場。名探偵を脅かす推理の検証者、誕生! 大ヒットミステリー『その可能性はすでに考えた』はここから始まった!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さばかん
76
著者デビュー作にして第51回メフィスト賞受賞作の今作だが、名状しがたい世知辛い理由により3番目に文庫化される運びとなった。 三者三様の事件とその解答を検証していく今作。 正直普通にめちゃ面白なのに、不人気らしい。なぜ……。 花屋探偵メインで1本読みたいし、女子大生探偵メインで1本読みたいし、硯さんの正体も気になる。 こんなに読みたい要素満載なのに、全て放置して青髪探偵をシリーズ化してしまってしかも大人気。いや面白いけれども。是非ともですね、青髪以外の作品を書いて欲しいものですね。2019/01/10
koma-inu
62
論理を究極まで高めた3短編+おまけ1編。数式を多用した論理展開がすごい。というか、ほとんど理解できない。が、各々の謎は分かりやすく解説されているため大丈夫です。イチオシは「トリプレッツと様相論理」。「その可能性はすでに考えた」の探偵が登場、その見事な推理を、真の探偵の硯が論理でひっくり返す。雪の足跡トリックは、○○ならではの内容であり、図解入りがステキです。こんなに頭痛いほど緻密な内容を、デビュー作によく持ってきたものです。そう考えると、次作以降は、やや分かりやすい論理になりましたね。2022/08/31
オーウェン
59
著者のデビュー作という事だが、数学に精通しているか学んでいるかしないと書けない作品だと思う。 それは事件の証明を数理論理学で解くため。 一応作中で説明がなされるが、正直ちんぷんかんぷん(笑) でもトリックだったり、犯人の行動原理がしっかりと解明される。 その数理論理学を説く硯さんと、依頼を持ち込む詠彦くんのやり取りも楽しめる。 そして3編の依頼が解かれた後の、進級試験と題された部分。これまでの謎には裏があるんだと明かされる。 続編が可能だが、論理学でないと意味がない推理ものなので、時間が掛かるかも。2024/04/07
星群
58
お気に入りの作家さんになりました。まず、硯さんと詠彦君のやりとりが面白かった。だから、詠彦君があんなことを考えてるなんて思いもよらず、最終章ではそう繋がるのかと、やや驚きました。博識な作家さんだなぁと思って読み終わり、巻末の著者紹介を見ると、なんとT大学卒業!益々今後が気になります!!2020/12/19
カノコ
48
最初に言っておくと、わたしは数学が大の苦手だ。数ⅠAで挫折した。なのに、どうしてこんなにも面白いんだ。大好きな井上真偽氏のデビュー作でありメフィスト賞受賞作。探偵たちが解決した事件を、美人学者の硯が数理論理学的に検証を行う。作中には、ミステリには似つかわしくない論理式や数式が数多く登場。文系人間からするとそれだけで怯んでしまうのだが、丁寧に一つずつ説明されるそれらの意味するところが事件の綻びを指摘していくと、最高に気持ちいい。これぞ井上真偽。人を選ぶかもしれないけど、ハマるとめちゃくちゃ気持ちいい怪作。2019/01/18
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