内容説明
ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。MoMAのキュレーター八神瑤子はピカソの名画を巡る陰謀に巻き込まれていく。故国スペイン内戦下に創造した衝撃作に、世紀の画家は何を託したか。ピカソの恋人で写真家のドラ・マールが生きた過去と、瑤子が生きる現代との交錯の中で辿り着く一つの真実。怒濤のアートサスペンス!(解説・池上彰)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bunmei
484
今回の画家は情熱の天才画家ピカソ。近代美術のデフォルメされた絵画の中で、反戦の象徴とも言える『ゲルニカ』がモチーフ。過去のヨーロッパにおけるナチスを筆頭としたファシズムによる弾圧と現代の9.11同時多発テロとの、2つの争いをタイアップさせる中で、ピカソの私生活と共に辿る文章構成。数奇な運命を辿った『ゲルニカ』に込めた思いや見方、考え方が伝わってきます。ピカソと主人公・瑤子の中に燃え上がる反戦への思いと作品への情熱がほとばしる作品です。これまでのマハ作品の中で、一番エネルギッシュな作品でした。 2018/07/23
kk
381
『ゲルニカ』に込められたピカソの切実な想い。観るものが覚える戦慄と平和への憧憬。現在と過去とを結ぶ2つのエピソードがきれいにつながって、この重くて深いメッセージが自ずと読み手の胸に迫ります。やはりマハ先生はすごい方ですね。2020/01/11
三代目 びあだいまおう
377
深い感動が止まない。たった一枚の絵画に稀有な小説家がもたらした奇跡の足跡!『暗幕のゲルニカ』偉大な芸術家ピカソの代表作ゲルニカは反戦を訴える無言の叫びであった!美の想像主、既成概念の破壊者たるピカソ。故郷を襲った無差別攻撃の不条理に対し、命の危険を省みず反駁した魂の大作!途中で既に『スッゲェ』っと震わせてくれる小説も珍しい!本作はその魂が宿るかの如く『叫び』が時空を越えて響き合う。物言わぬたった一枚のカンヴァスが、千の兵器、万の言葉よりも平和を訴える力となる。芸術の無限の力をこの小説は教えてくれた‼️🙇2020/05/07
Nao Funasoko
364
ファシズムの時代のドラとテロの時代のヨーコ。天才の名画に関わる2人の女性の物語がひとつに纏まる。 二つの時代を繋ぐ美の巨人、パルド・イグナシオとルース・ロックフェラー。この物語の脇を固めるふたりによる直接交渉とそこからおこるラストの描写はとても素晴らしかった。 名画がモチーフだからというわけでもなかろうが、要所要所で登場する鳩のドローイングも含め全編を通してとても映像的な作品だった。2018/08/08
エドワード
337
1937年。スペインの地方都市がナチスの空襲を受けた。ゲルニカ―ピカソは、戦争を繰り返させないためにこの大作を描く。2001年、アメリカ。同時多発テロで多数の犠牲者を出した政府は、報復としてアフガニスタンの空襲へと動き出す。二つの空襲は戦争と無関係な人間を死に至らしめる、全く同じ愚行だ。人間は歴史から何も学ばない。ピカソと彼の愛人ドラ・マールの物語と、現代のMoMAのキュレーター・八神瑶子の物語が二重写しになるサスペンス。「芸術は飾りではない。戦争やテロリズムや暴力と戦うための武器なのだ。」が心に残る。2018/07/29
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