内容説明
1970~80年代、学校教育の現場で部落差別問題に対処する、同和教育と解放教育という二つの取り組みが行われた。そこで「救われた」著者が、それらを回顧しまた総括する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masakazu Fujino
3
この本が今、文庫本になって多くの人たちに読まれることは、大きな意味があると思う。上原善広氏は、自ら解放教育で救われたと言いつつ、その限界点や問題点も指摘している。今もう一度、同和教育・解放教育をきちんと受け止め活かしていく必要がある。2019/04/01
Rika Takizawa
2
この作者の人と私は同年代なんだけども、全然世界が違うのでびっくりした。同和教育の教科書ではわからない当時の空気感がよく分かった。「自らが受けた教育を乗り越えることに、教育の意味がある」というのは深い。2020/09/03
U-Tchallenge
1
著者自身の経験やフィールドワークを通して得たものから同和教育と解放教育について書かれた一冊。暗いというか辛い記憶をたどりながら考える内容となっている。しかし、著者は同和教育や解放教育を通して救われた、と話す。しんどい子を中心としながら集団づくりを行い、仲間づくりを進める。このことは現在でも大切にしたいことだ、と改めて思った。ある程度の知識がある方が読みやすいようには思う。それでもかつての光景を知るにはとてもよい内容のように思う。2023/11/16
bela
1
70年代〜80年代学校現場での部落差別問題をフューチャーした回顧録。広島の事件に至っては解放運動が特に激化した時代ともあって、部落解放同盟や教職員組合等それぞれの立場と思想や考え方が入り混じり悲しい結末を迎えてしまっていてとても驚いた。今の時代そして今後の学校教育において同和教育が必要か否かでなくこのような教育や運動があったという歴史だけは知っておいた方がイイと思った。2021/08/22
URYY
1
「路地」という表記が、やはり気になる。中上が虚構を成すために捻出したワードで、それが普遍的なものになっていることの危うさ。同対法という時限立法の後の解放、同和教育の様相の一端を知ることができるのはよいが。2018/11/27