内容説明
「人間を超えるものの認識なしにこうした歌が読めるであろうか」――。式子内親王の3つの「百首歌」、少ない贈答歌などへの細やかな考察を通し、詩人の特性、女として人としての成長、歌境・表現の深化・醇化を「思うままの作品鑑賞」で綴る。三十一文字に自己の心と想念を添わせ、独創的な視点と豊かな感性で展開する「式子内親王」「永福門院」「いま一章、和歌について」を収録した名評論集。平林たい子賞受賞作。
目次
●式子内親王
●永福門院
●いま一章、和歌について
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gorgeanalogue
8
積読だったのをふと手にとった。式子内親王の若い形而上性は観念的すぎて、やや疎ましいが、それと釣り合うような著者の読解は執拗にすぎると思う局面もあるものの、次第に惹かれていく。永福門院論の叙景と「心緒」の緊張関係の分析も、モノローグ/ダイアローグをめぐる歌物語についての附章も面白い。それにしても中世~近世の和歌史の最後の光のような永福門院の叙景歌の凝縮された味わいを識ることができて何より(たとえば叙景は子規の写生とどのように質が異なっているのか)。こうした感受性は著者の小説にどのように陰を落としているのか。2025/09/13
双海(ふたみ)
8
登録忘れ。学生時代ぶりの再読。式子内親王の御歌にもっと親しみたい。2023/10/01
みかん。
6
読んでいて感動して泣いてしまいました。推測ですが藤原定家が病状を的確に書き記したのはおそらく医療知識とまた医療本が当時の社会に既にあったためかと。御堂関白記を見ても、医療知識はいわば共通言語として広がっていたと考えています。2024/05/30
unpyou
2
最近和歌&式子内親王ブームが来ており読んでみたのだが、国語の教科書に載ってるなかで顔の気難しそうさNo.1だったし文章も硬かった竹西寛子、やはり四十がらみになってから読んでも好きになれる文章ではなく残念。しかし最終章に挙げられた式子の以下の歌など、歌を拾い上げる目利きぶりは確かなものだと思う。 しづかなる暁ごとに見渡せばまだ深き夜の夢ぞ悲しき この歌など、「夜の夢」には現世の惑いという仏教哲学概念が重畳されており、哲学と文学技巧と夢幻の情感のミクスチュアが31文字に凝縮されている。凄いの一言。2017/12/19
Waka
1
和歌の年間講義を担当することになり、何度か読んだこの図書をおさらいしておこうと再読。特に「永福門院」のところを読みたかったのだが、良かった(前半は読みにくい。記憶どおりだった)。嘆きの浅いものほど叫ぶ声が大きくなる……まったくです。だから私は万葉古今が嫌いだし、新古今京極派が好きなのだ。2021/02/10
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