内容説明
大正末期から戦後まで、混迷の時代の中で輝かしい光を放った詩人たち――西脇順三郎、金子光晴、中野重治、中原中也はじめ、「四季」の三好達治、立原道造、戦後「荒地派」の鮎川信夫、田村隆一さらに清岡卓行、谷川俊太郎に及ぶ、23人の魅力の源泉に迫る。「詩」と「批評」という二筋道を、一筋により合わせ得る道を自らの内に探求してきた著者の、刺激に満ちた詩人論。現代詩を語る上で、必読の詩人論が誕生した!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamahiko
12
鮎川信夫に対する批評の何と刺激的なこと。一方で櫂の同人達にむける微笑ましい眼差し。今は昔と言わざるを得ない「あの時期」の現代詩を知ることができる良書でした。2019/08/15
Cell 44
2
解説から読んだ方がいいかもしれない。50年代半ばから60年代にかけての大岡信の批評。短い文章の集積ではあるが、大岡の批評態度、引いては創作態度が見えてくる。挙げられた詩人を読む際の取っ掛かりをつけるのにも役立つだろうが、やはり一通り読んでからの方が面白いのだろうな、とは思う。特に気に入ったのは吉田一穂のと前田耕の批評。後者はその存在を全く知らない詩人であり、読後、突き付けられたナイフのような問題の切っ先に私もまた立たされている思いがした。2013/09/16
Yossarian
1
スリリングな批評でとても読まされた。大岡が詩と向き合う空間に挟み込まれる感覚。願わくは詩人(歌人でなく)大岡信についてもっと語って欲しかった。
nightU。U*)。o○O
1
これが面白いのは大岡信という、それぞれの詩人と同じ時を過ごしている本人も詩人であるという稀有な筆者による論集だからである。鮎川信夫の項で本人が言っているように「詩の理解は詩人そのものの理解」ということで、23人を語る評論的文章はどれも詩人そのものに近接して迫ったいい批評だ。観点も素朴なところがいい。彼が恃みにしているのは結局それぞれの詩人との交流でも社会的背景でもなく、自分が読んだテキストとそこから得られる彼の感動。そこに彼の理知溢れる文章が乗っかり、この本を作っている。2014/04/13
笠井康平
1
大事なところとか言うべきところとかをがしがし言い当ててくるな。すさまじい命中率。詩とか詩人とかとの付き合い方がすごくよくわかる。2010/08/31