講談社文庫 海に降る雪

著者名：畑山博【著】

講談社（2018/12発売）

• ISBN：9784061316591

内容説明

二人の愛の巣は線路ぎわ、電車が通るたびゆれる小さな部屋。大都会・東京のすみっこで結ばれて、青春をいちずに生きる、塩子と裕一のかけがえのない時間。だが、心のボタンをいつ掛け違えたのか。彼女が変わったのでも、彼がそむいたのでもないけれど、あんなにはずんでいた塩子が貝になる。……信じることの困難な現代に、愛の神話を希求する青春恋愛小説。こんな恋がめばえたら、あなたならどう育てますか？

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

[遥かなる想い]

読んでいてひどく懐かしさ を感じる恋愛小説だった。 井岡裕一と今里塩子の かわす会話がひどく昭和的 で、心に染みる。 弾けるような塩子が 抱える秘密、塩子の日記を 覗きこむ裕一…心の底に 流れる裏切りへの暗い情熱 のようなものが哀しい… 塩子が手紙に書き続けた 「昔の友達」という表現が なぜか心に痛い、物語だった。

2015/03/14

[あつひめ]

これは、文明の利器の発達した今ではよく理解できない恋愛関係かもしれない。どこか踏み込みきれない、されど捨てきれない。お互いに。本当を知るのが怖いのとも違う。変わってしまう自分が怖いのとも違う。心の闇の中で灯る恋と言って良いのかなぁ。

2015/10/19

[メタボン]

☆☆☆☆　前半の天真爛漫と言ってもいい塩子のたたずまいが、別人のように痛々しくなっていくのが、つらい。どこかで決定的に掛け違ったとしか思えない井岡と塩子の恋愛がせつない。

2017/06/29

[ken_sakura]

好き♪( ´▽｀)あらすじ、「二人の巣は線路ぎわ、電車が通るたびにゆれる小さな部屋。東京のすみっこで結ばれて、青春をいちずに生きる塩子と裕一。だが、心のボタンをいつ掛け違えたのか。彼女が変ったのでも、彼がそむいたのでもないけれど、あんなにはずんでいた塩子が貝になる。・・・・・・信じることの困難な現代に、愛の神話を希求する青春恋愛小説。」に興奮。あとは黙って読んだ(￣^￣)ゞなごり雪と神田川を小説にした様な感じ。表紙がとても良い雰囲気。しばらくは手元に置こうと思う。薦めてくれたおもしろ本棚の先生に感謝。

2015/11/13

[fubuki]

30年ほど前に映画化もされている。佐藤泰志が描く情景とダブる。良い悪いというより、時代なのかなぁ。汗や息遣いや涙が満載されている。別れ際、塩子が「いつか、憎しみが小さくなったら、もう一度会おうよね」というセリフに固まった。この小説が好きだった昔の彼氏と別れるときに、私も言ってたわ・・。いままた「あの時代」の、塩子たちの心の葛藤が懐かしい。

2016/09/09