内容説明
昭和33年、日中貿易の中断で、北浜交易株式会社は東京支店を閉鎖。解雇され人生の岐路に立った社員の有志7人は団結し、退職金を資本に新会社を設立、脱サラどころか資本家として再出発した。だが、弱者につけいる世間のあくどい罠、そして怪人物・怪婦人の跳梁など、前途は多難である…。「わざわい転じて福」となるのか? 覇気、恋、人情、滋味横溢の脱サラ奮闘ストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カノープス
2
昭和の流行作家、サラリーマンものと言えば源氏鶏太である。昭和三十年代を舞台にしながら、今読んでもさほどおかしさを感じさせないところがすごい。全く違和感がないわけはないが、肝心要の働く者たちの心情や人間模様に些かの不自然さがない事に驚くのだ。スマホやパソコンなど社会を取り巻く道具立てに変化はあっても、人間のやることには基本的に変わりはない事を本書は教えてくれる。有吉佐和子が売れているらしいが、この際源氏鶏太もいくらか話題になってもいいのではないかと思うのだが。2024/04/10
hata2
0
いつもの源氏鶏太ものだが、微妙に違う部分もある。主人公は弱小工場の社長だが、心に残るのは主人公を慕う女性の方だ。2011/11/23