内容説明
諸葛孔明、顔真卿ら中国の忠孝義烈8人の遺文や伝記で忠君の大義を説く、儒学者・浅見絅斎の手になる思想書。成立は貞享四年(1687)、幕末に至り吉田松陰、橋本景岳ら尊皇の志士必読の「教科書」となる。崎門学正統派を現代に継いだ近藤啓吾が、現代語訳、語釈や時代背景、絅斎の評伝を加えて纏めた『靖献遺言講義』を再編。「靖献遺言」理解に欠かせない決定版。(原本:近藤啓吾『靖献遺言講義』国書刊行会、1987年)
感想・レビュー
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きさらぎ
7
諸葛亮、文天祥、陶淵明、顔真卿、方孝孺ら8人の中国の忠臣についての伝記・彼ら自身の遺文・絅斎による評からなる『靖献遺言』の訓読・口語訳に、著者による詳細な注、更に評論がつく。注の分量が膨大で、しかも絅斎や強斎ら崎門の講義録を引いているので読み通すのにかなり骨が折れるが、江戸幕末の思想を学ぶには勉強になるとは思う。だが籠城の際に飢えた兵士に愛妾の肉を食わせたとか、二君に仕えずと主張し本人磔はやむなしとしても妻子親兄弟門人、計847人を殺されたとか、現代の感覚ではそれ賞賛するのか…という気分にならなくもない。2019/04/13
Ohe Hiroyuki
3
17世紀末に編纂されたものであり、その内容は屈原、諸葛亮から明の方孝孺まで8名の忠臣を選び、彼らの遺言とその背景を記した一冊。学術文庫版にはその一部が採録されている▼なぜこのような書籍を記したのかは本書の最後によって明らかにされている。いずれも国が亡んだり、帝位が簒奪される時代にどのように振る舞ったのかが記されており、究極のケーススタディともいえるであろう▼本書が、幕末の志士に与えた影響は大きいというが、ケーススタディであり、分かりやすかったからであろう。丁寧に現代語訳されていて我々にも読みやすい。2024/11/16