木下サーカス四代記―年間120万人を魅了する百年企業の光芒

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木下サーカス四代記―年間120万人を魅了する百年企業の光芒

  • 著者名:山岡淳一郎【著】
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 東洋経済新報社(2018/12発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784492503058

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内容説明

大連での旗揚げ、戦争と平和、どん底からの再出発
驚異の観客動員力を誇る「百年企業」の波乱と進化の物語

木下サーカスとは、どんな共同体なのか。
百余年の風雪に耐え、現代人を惹きつける根源に何があるのか。
木下家四代にわたる経営者の軌跡から、
旅興行を実業に変えた執念と、波乱に富む人生が浮かび上がる。

四代目社長、木下唯志は、V字回復の理由に、「一場所、二根、三ネタ」を挙げる。
「場所」は公演地の選定、公演の現場を指す。「根」は営業の根気を、「ネタ」は演目である。

この三つを地道に磨き、世界トップ級のサーカスを率いる。
生き残るための「常道」がここにある。

目次

まえがき

第1章 「一場所、二根、三ネタ」――驚異の観客動員力の秘密
・北海道から九州への「場越し」
・コンテナ滞留、公演の胸突き八丁
・木下家に伝わる金看板
・「空地」は政策転換の「隙間」にあり
・象でつながった縁
・古典芸の高みを求める「社長見せ」
・家族一緒の移動か、単身赴任か
・先乗り隊「あひるの水かき」
・海の向こうから来た曲馬団

第2章 木下アームストロング――初代・唯助の冒険から隆盛へ
・「旭座」の主、藤十郎と出会う
・西洋と日本をつなぐ曲馬
・ダルニー(大連)で旗揚げ
・西大寺の興行権を掌中にする
・「仲裁」で名を上げる
・弟の死、人生を決めた試練
・中国、ロシア、大陸巡業の苦闘
・「諜報」とロシア飛び
・大阪・千日前の興行師、奥田弁次郎
・奥田社中、「矢野曲馬団」に合流
・映画館を建て、全国の興行師を束ねる
・「任侠道」を利用した原敬内閣
・「幾時代かがありまして」
・昭和恐慌と「サーカスの時代」

第3章 戦争と平和――サーカスに国境はない
・宣撫官・光三がくぐった戦火
・木下家の婿養子
・戦時下の震災、そして焦土へ
・「引き揚げ」の混乱
・「山より大きな獅子は出ない」
・ハワイ公演からの再起
・美空ひばりと木下サーカス
・丸テントの「革命」
・魔の「数十分の一秒」
・「大阪読売新聞」と提携
・「サーカスに国境も人種も関係ない」
・空中ブランコの申し子、谷口豊春
・光三の二代目襲名
・外務委員宛「韓国公演後援申請書」は物語る

第4章 どん底からの再出発――四代目・唯志「世界一」を目ざす
・「太平洋大学」と光宣の選択
・明治大学剣道部
・まつろわぬ人びと
・木下ブラザーズ
・大雪の夜、弘前の恋
・闘病三年、「断食修行」に懸ける
・三代目・光宣の「血の通った改革」
・病魔
・負債10億円からの再出発
・イタリア製の大テントで起死回生
・「大家族」のサーカス企業化
・世代交替

終章 未来への布石――「多様性」を磨け
・「大阪うめきた公演」の重み
・コンテナ村の外国人アーティスト
・象をラオスに返せない!
・「種の保存」とサーカス
・「生きている実感、ありますか」

あとがき
木下サーカス四代記 年譜
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ばんだねいっぺい

38
 「木下サーカス」。名前は、知っていたけれども、こんな波乱万丈の歴史を持っていたとは。不思議なのは、先代の不世出の闘魂のマインドが確実に次代へ受け継がれていく気がしたこと。雪降る盛岡駅での一世一代のラブストーリーには、震えた。濃くて面白い本だ。一番、驚いたのは、鉄の網の球をバイクが走る演目の稽古の付け方。そりゃそうかとは思ったけどね。2019/09/16

kawa

38
最後にサーカスを見にいったのはいつだろうか。本書は、国内で昔ながらの歴史を持つサーカス団で唯一生き残っている木下サーカス四代の歴史と今をドキュメントしている。スポットライトをあびる公演そのものより、観客の目に留まらない日常のサーカス団の姿が興味深い。「一場所(公演地)、二根(営業の根気)、三ネタ(演目)」が繁栄の王道だそうな。ショーアップしてエンタメ度が格段に向上しているサーカス公演、チャンスがあれば見に行こう。2019/05/21

trazom

30
なぜ100年以上も続いているのか、なぜ年間120万人もの観客動員(宝塚大劇場と同じ!)ができるのか、なぜ仮設テントの移動公演なのか、一時は30もの団体があったのに、なぜ木下サーカスだけが生き残ったのか、博徒や香具師に支配される興行をなぜ木下は仕切れたのか、なぜ四代続くファミリービジネスが成功したのか。その謎がよくわかる。事業を近代化する中にも、家族経営の温かさを保ち、現場第一線の演者を大切にするという木下サーカスのビジネスの神髄は、現代の「会社」が見失ってしまった大切なものを思い出させてくれる。2019/04/09

reo

20
シルク・ドゥ・ソレイユが日本に上陸したとき、ああこれで木下大サーカスも終わりかと思った。ところがどうよ、今まさに我が世の春のごとき集客数を誇っているではないか。僕は岡山市に居を構えて四十数年になったが、根っからの岡山人ではない。しかしここで子供が生まれ、小学生になり育ちゆく折々に木下大サーカスが来るのであります。そして今、孫ができやはり成長する折々に木下大サーカスは来るのです。そして親・子・孫3代で行くのです。正確には連れていかれる。もちろん会場内での費用も全額ジジババ持ち。地元だけによく来るんだわw2019/06/26

はじめさん

15
みんな大好き木下サーカス。創業からのルポ。初代は我らが香川県出身で、移動動物園を営む一族から同じ香具師稼業の岡山木下家に養子で入り、二代目は娘婿で戦時大陸にいた経験から海外公演にも乗り出す。その息子である長男の三代目は若くして亡くなり、次男が四代目を継ぐ。/ いまや大卒が入社する時代。前乗り部隊がロケハンと各種折衝、実働サーカス部隊は社長自らテントの設営を行い、演目終われば他のサポートや売店を切り盛りする団員=家族。トレーラー住宅で旅から旅への生活。ちょっと楽しそう。/我が国の軽業からサーカスへの変容歴史2023/03/25

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