内容説明
維新の激動に飲み込まれた江戸.諸大名の一斉帰国で人口は一挙に半減し,百万都市は瞬く間に衰退へと向かう.横行する浮浪士のテロ,流動化する土地と身分.人心は荒廃し怨嗟の声があふれる.江戸の秩序が解体してゆく東京で,人びとは時代の変化に食らいつき,生き延びる道を求めて必死にもがきつづけた.名も残らぬ小さき人々の明治維新史.
目次
目 次
はじめに
第一章 江戸から東京へ
第一節 大名小路の風景
江戸切絵図「御曲輪内大名小路」/江戸城登城風景図屏風/腰掛茶屋/賑わう内桜田門
第二節 戦略的な藩邸配置
「大名小路」藩邸の主/上屋敷、中屋敷、下屋敷の役割/中屋敷の新たな役割
第三節 江戸の占領統治
薩摩藩邸浪士の御用盗み/江戸城開城直後の情勢/東京様お酒頂戴/東京城吹上苑拝観
第四節 荒廃する武家地
激減する人口/焦る江戸藩邸/帰るに帰れぬ藩士たち
第五節 新しい屋敷主たち
公家たちの登場/変貌する大名小路/ 「東京十二景 内桜田」の光景
第二章 東京の旧幕臣たち
第一節 新政府の悩み
困難な治安回復/脱籍浮浪士問題/東京の戸籍編成
第二節 身分の再編という矛盾
身分制度と新政府/近世の身分とは何か/身分制の解体を考える視点/身分制の再編/明治二年兵制論争/奇兵隊の反乱
第三節 旧幕臣本多元治の明治維新
困窮する旧幕臣たち/朝臣化旧幕臣 本多元治/土地経営で生計をたてる/土地の引替/混迷する武家地政策/土地獲得の欲望/本所一つ目という場/一つの人民に二つの触頭
第三章 町中に生きる
第一節 家守たちの町中
東京府知事の江戸学事始め/二つの役割を負う家守/家守の株化/その日稼ぎの人びと
第二節 明治の人返し
四ッ谷伝馬町新一丁目の場合/天皇の食費も削減を/一万人の「物貰いの者」/ 「家守の町中」の否定
第三節 路上の明治維新
床店とは/なぜ路上で店を開けたか/神田柳原土手通り床店/床所持主と床商人/床商人の地税上納運動/床店のゆくえ
第四章 遊廓の明治維新
第一節 新吉原遊廓と江戸の社会
東京府知事大久保一翁の伺い書/新吉原遊女町の役と特権/動揺する幕末の遊廓
第二節 遊廓を支える金融と人身売買
仏光寺名目金貸付/財としての遊女/商品としての遊女の身体/明治五年芸娼妓解放令
第三節 遊女いやだ──遊女かしくの闘い
竹次郎一件/稚拙な結婚嘆願書/政五郎の対応策/菊次郎一件/かしくの願い
第四節 変容するまなざし
下層社会を生きる矜持/崩壊する遊廓秩序/ 「自由意思」の売春/隠売女から淫売女へ
第五章 屠場をめぐる人びと
第一節 弾左衛門支配の終焉
関八州えた頭 弾左衛門/弾左衛門支配/賤民廃止令
第二節 牛肉産業のはじまり
牛肉需要の急増/官許屠牛改会社の設置/仲間の論理による会社運営/身分の論理による関係/警視庁による介入/屠場の払下げ
第三節 三味線皮渡世小林健次郎の挑戦
旧賤民のネットワーク/経営者のひとりとして/木村荘平の後押し/身分制の論理をこえて
第四節 いろは大王と自由民権
政府との癒着/屠牛商人との闘い/明治一四年、警視庁との対決/営業の自由を求めて/政商から一自営業者へ
おわりに
文献解題
あとがき
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佐島楓
HANA
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ホークス
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